ジュネーブにあるスポーツ仲裁裁判所(CAS)が、先週ロシア選手団のドーピング疑惑について判定を下し、
・世界反ドーピング機関(WADA)の要求ほどではないが、2022年12月迄出場停止。
・従って、ロシア選手団は東京オリパラ、北京冬季大会に参加できない。
・選手は個人の資格で潔白を証明すれば参加できるが、国旗国歌等は使用不可。
ロシア選手団、東京五輪除外へ 仲裁裁判所、不服の訴え認めず (47news.jp)
という結論になった。東京オリパラのサイバーセキュリティ対策においては、ロシア選手団の参加可否は一つの大きな分かれ道だった。ロシアはサイバー攻撃大国の一つに数えられ、その行為に対しての疑惑はふんだんにある。自国の選手団の参加が認められなければ、後慮の憂いなく攻撃を仕掛けられるというものだ。
米中対立が深まる中でもオリンピックは平和の祭典であり、両国の紛争の場にはならないと思われていた。古代のオリンピックでは、国家間戦争の最中でも、オリンピック期間中+選手団が移動する期間は「休戦」したという。近代になっても、ユーゴスラビア内戦中にバルセロナオリンピックがあったが、この時もユーゴの選手の参加に向け各国は努力したという。
オリンピックのワールドワイドパートナーには最近中国企業アリババも入っていることから、中国もオリピックの成功は願ってるはずというのが、米中対立が持ち込まれないだろうという推測の根拠になっている。聞くところによると、東京オリパラへのサイバーリスクは下記の4種類。
1)チケット詐欺などの経済犯
2)大会の評判を落とすためのいやがらせ行為
3)大会運営を妨害するデータ破壊や電力・交通などの重要インフラ攻撃
4)サイバー空間を利用して参加する要人に危害を加えるなどの行為
1)や4)は幅広い仮想敵がいるが、仮にロシアの攻撃者が本腰を入れてくるなら、2)や3)のリスクが一段高まったことになるだろう。「COVID-19」の収束が見えないため、オリンピックがどういう形態で行われるかまだ不明だが、いずれにしても攻撃の準備は着々と進んでいると思うべきだろう。関係者だけではなく、一般企業や市民もおかしな兆候に気づいたら知見のあるところに相談してみるなど、警戒を怠らない必要があると思います。