昨年もイアン・ブレマーの率いるシンクタンク<ユーラシア・グループ>が公表する、「今年の10大リスク」をご紹介した。5位に「国際的なデータ規制強化」、6位に「サイバー紛争の激化」が入っていて、僕の専門領域が大きなリスクとされていることに感動したし緊張もした。<ユーラシア・グループ>は今年も10大リスクを発表したが、上記2項目は消えてしまっている。
新型コロナ: 22年の10大リスク、「中国のゼロコロナ失敗」が首位: 日本経済新聞 (nikkei.com)
1位 中国ゼロコロナ政策の失敗
2位 GAFAら巨大IT企業の支配
3位 米国の中間選挙
4位 中国の国内政策
5位 ロシア
6位 イラン
7位 2歩進んで1歩下がるグリーン政策
8位 世界各地の「力の空白」
9位 文化戦争に敗れた企業
10位 トルコ
となっていて、前回首位の「46*:米国バイデン政権」は、3位の中間選挙(による米国内外の混乱)に代わった。どちらも米国内の「分断」を意味していると思われる。首位に立ったのは「No Zero COVID」、意味は中国が進めている「ゼロコロナ政策」が上手くいかず、ロックダウンを強化しても感染力の強い「オミクロン株」の蔓延を防ぐことができない。その結果中国内の経済(ひょっとしたら社会も)が打撃を受け、これが全世界経済に暗雲を落とすということらしい。4位に中国の他の内政問題(IT&教育産業タタキや不動産の焦げ付き、新疆ウイグル等の人権問題)が別建てになっていることからも、今年の中国リスクは高いと見ているわけだ。
2位には「巨大IT(テクノポーラー)の支配」が入った。昨年のデータ&サイバーのリスクは、ここに応分に入っているのかもしれない。ただデータについては、巨大ITが囲い込んでいると言われるのは個人情報が中心。IoTを含む非個人情報の覇権争いはこれからだ。5位のロシアもやむを得ない。ウクライナ問題はひょっとするとHOT-Warになるかもしれないからだ。
グリーン・力の空白・文化戦争も確かに問題ではある。しかし昨年猛威を振るったランサムウェアなどサイバーリスクは「今そこで増えている危機」。これらの問題より小さいとは思えないのは、僕が狭量だからなの?
今年はブレマー氏の知己からの情報が来なかったので日経記事に拠りましたが、このあたり有識者の意見を聞きたいと思います。