Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

これってまさしく「Pause」

 「ガザ紛争」と思っていたのだが、ヨルダン川西岸地区イスラエル北部でも戦闘が起きていて、これはもう「第5次中東戦争」になり始めている。それでも紛争の中心は、パレスチナの人が220万人暮らしていたガザ地区にあることは間違いがない。1ヵ月の間に、国連職員100名が「戦死」するような異常事態だ。

 

 遮断された補給、インフラの停止、相次ぐ空爆、地上部隊の侵攻とあらゆる人道危機が起きながら、停戦(Ceasefire)もままならない。イスラエルの最大の後ろ盾である米国が「せめて一時戦闘停止(Pause)を3日間しろ」といってもネタニヤフ政権は聞く耳を持たなかった。結局、4時間/日のPauseをすると発表したのは米国の報道官だった。

 

    

 

 このまま無視され続ければ、米国の威信低下が大きすぎる。場合によっては支援に影響が出るぞと脅して、ようやくここまでこぎつけたのかもしれない。一方イスラエル側は何の発表もせず、Pauseの間に南部に避難するよう促すだけ。水面下での外交交渉の難航を思わせる事態だ。

 

 イスラエルがなぜCeasefireに応じないかというと、識者は「ハマスに体制を整わせる時間を与えることになるから」という。確かに混乱している戦況を見直して、部隊の再編や兵器の移動・再偽装などをすることはあるだろう。しかし、完全に包囲されて外部からの補給も難しい中で、戦況に大きな影響を与える何かができるだろうか?

 

 僕は、実はイスラエル側にこそ、時間がないのだと思う。これまでになかった30万人規模の予備役を招集、海外からも志願兵が戻ってくる状況は「非常時」そのもの。平常の経済活動の方がPauseしかかっているのだ。

 

 だからネタニヤフ政権は、なるべく早くハマスの拠点をつぶしてしまいたい。しかし民間人の犠牲が増えると国際社会からの非難が高まる。そこで、まさにPauseとして人道にも配慮していますよと言っているわけだ。

 

 バイデン政権がネタニヤフ首相を抑え込まない限り、民間人の犠牲は増え続けます。米国の英断を期待していますよ。