Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

人権を最重視するドイツの憲法下で

 ドイツ国内が揺れている。連立入りしている<緑の党>の極端な環境原理主義的主張もあってエネルギー問題が深刻化し、景気低迷が続いている。その一方、極右政党<AfD(ドイツのための選択肢)>も勢力を伸ばし、急増する移民・難民排斥や、LGBTQ支持者との対立も鮮明になってきた。

 

 そして、トドメに近いのが今回のガザ紛争。ハマスの奇襲によって始まったこの紛争は、すでに1.5万人に近い犠牲者を双方に強い、終わりどころか一旦停止も見えてこない。ドイツの国是は人権、特にかつて迫害したユダヤ系の人達の人権を守ること(*1)なので、ショルツ政権はハマスの攻撃を許すことはできない。ショルツ首相が攻撃後各国首脳の中で最初にイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相支持を明言したのは当然である。

 

        

 

 反ユダヤ主義を唱えることはドイツではれっきとした犯罪だが、それでもユダヤ系の人の家に<ダヴィデの星>を描くなどの行為や、反イスラエルのデモ・集会が公然と行われている。それは、知らないうちにだが、2019年の時点でムスリムは500万人(うちアラブ系が200万人)も移民してきているのだ。今ではもっと多いだろう。移民に寛容だったメルケル政権の置き土産が、今ドイツを揺さぶっている。

 

ユダヤ批判は絶対に許せない立場だが…アラブ系移民の「反イスラエルデモ」に手を焼くドイツの苦悩 内心はパレスチナ人に同情的な人が多い | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 官憲としてはこれらを取り締まらないわけにはいかないし、一般市民は排斥をする。一方アラブ系移民としては、イスラエルは絶対悪に見えるので闘わないわけにはいかない。どちらも正義を振りかざしての闘いになり、アラブ系が「第二のユダヤ人迫害」を引き起こしかねない。

 

 AfDの主張にあるように、これから(特にアラブ系の)移民排斥になっていくかもしれません。それが次の紛争の火種になるかも・・・。

 

*1:憲法第一条は(ユダヤ人の)人権擁護である。