とにかく、各国カネがない。ドイツでは「COVID-19」対策で積んだ資金の流用ができず、焦眉の急のウクライナ支援やグリーン政策にも支障をきたしている。フランスも年金改革に反対する市民の怒りで、与党が総選挙で敗れる事態になった。今はオリンピックのお祭り騒ぎだが、それが覚めれば厳しい現実が待っている。晴れて政権交代となった英国も、トラス政権が市場にNoと言われて以降、財政に関してはピンチの連続。
労働党スターマー政権では、政府支出の見直しに必死だが、やはり軍事費系に手を付けざるを得ないようだ。とはいっても、目の前のウクライナ支援、自らの今の軍事費はおいそれと減らせない。では、将来への「投資」を見直そうと考え始めたらしい。

次期戦闘機「開発中止も」 英新政権の国防見直しで―報道:時事ドットコム (jiji.com)
日本やイタリアとの、次期戦闘機共同開発計画を中止する検討を始めている。政権が変わったから、外交・国防が変わるのはいかがなものかとも思うが、この戦闘機が実戦配備されるのは早くて2035年。おそらく延び延びになって2040年以降、主力となるのは2045年ではなかろうか?
そんな時代に今の有人戦闘機(正確にはマルチロール・ファイター)が必要なのかどうかもわかっていない。うがってみれば、英国内の軍事産業に先行投資名目でお金を渡したいだけの政策にも見える。
だから背に腹は代えられず、日伊両国の防衛大臣が英国を訪れる前に、観測気球を上げたということ。もうひとつ、国内向けのメッセージとして「労働党は保守党のムダを探して、倹約する努力をしていますよ」というもの。仮に日伊両国が怒ってきたら、少し先延ばしにするとか、お金を削減するなどして「やってる感」を出そうとの思惑だろう。
まあ、政権としてのポーズだから仕方がないのですが、本質的には「2040年に有人マルチロール・ファイターが必要か」の議論ですよね。三国で、その点ちゃんと議論してくださいよ。