自民党の裏金疑惑、もっぱら国会議員の挙動にメディアが集中して報じている。例えば、
・キックバックされたカネを議員の政治団体が、帳簿(*1)に記載していない
・派閥で集めたカネについて、派閥の会計責任者が帳簿に記載していない
点に焦点が当たっている。ただ、僕が思うには、そのカネを何に使ったかの方が問題が大きい。
政治の何にカネがかかるのか? - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
帳簿不記載なら政治資金規正法違反程度だが、選挙のために買収・饗応に使ったとなれば公職選挙法違反である。後者の罪の方がずっと重いし、議員本人に司直の手が伸びる公算も高い。
30年ぶりくらいに<政治改革>の議論が起きているのはいいことで、野党がこの点(*2)で糾合して政権交代を目指せというのも一理はある。しかし国会議員のレベルではなく、地方議員やその支持者たちのことも考えた<改革>であるべきだ。
舛添要一氏が自民党裏金問題で私見 根源は「地方議員と有権者の〝ゆすりたかり〟体質」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース
これまでの報道を見ていて、この記事が最も正鵠を射ていると思った。自民党の金権体質というが、問題は日本のムラ社会構造に由来する。例えば、
・A議員の下には、地元企業からの献金が集まる
・A議員は、中央行政に働きかけて、地元企業への利益誘導をする
・一方、地元の地方議員や有権者への直接的な還元も忘れない
・支援者たちは、A議員の選挙にあたっては種々の支援(ボランテイア等)をする
という具合。地元に限っても、企業のカネが巡り巡って市民に流れる「エコシステム」になっているのだ。
国会議員の縛りを強化するだけでは、いずれ同じような問題が噴出するでしょう。ちょっと法令をいじるだけで済ませず、有権者の意識改革を進める施策を、どこかの政党が出してくれませんかね。そんな政党があれば、応援したいと思います。
*1:正式には政治資金収支報告書
*2:政治資金規正法改正などの厳罰化や政治資金の透明化