Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

IT立国アルメニア

 ナゴルノ・カラバフ自治州(共和国?)を巡る紛争で、南コーカサスに血が流れている。破壊された市街地の映像もだが、僕は旧式の砲兵(自走化もされていない)の砲撃シーンや塹壕に埋めた戦車を見て、第二次世界大戦型の戦闘がまだ続いていたことに驚いた。

 

 当該自治州はイスラム教国アゼルバイジャンに内包されていながら、住民はアルメニア人と同じキリスト教徒。アゼルバイジャンの方は、アルメニア人が乗り込んできてアゼルバイジャン人を迫害・追放していると非難している。

 

https://jp.reuters.com/article/armenia-azerbaijan-russia-idJPKBN26U0NT

 

 この紛争は両国の範囲に留まらず、アゼルバイジャンにはトルコ、アルメニアにはロシアが後ろ盾についていて、プーチンエルドアンという2人の強面がちらつく。地理的にトルコとアルメニア、ロシアとアゼルバイジャンが接しているのが事態を難しくしている。

 

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 戦争報道を見ながら僕が思い出したのはアルメニアが「IT立国」であること。旧ソ連圏でデジタル技術というとエストニアが有名だが、かの国はソフトウェア技術。アルメニアはハードウェア技術に特徴がある。人口310万人ほどの小さな国だが、市民の教育程度は高く、優秀なエンジニアの月俸は1,000~2,000米ドルほどと安価だという。

 

 こういうことを知ったのは、アルメニアがITエンジニアを表彰する制度を持っていて、偶然僕の会社の先輩が受賞したことがあるからだ。その縁で、一度在日アルメニア大使館にも足を運んだ。そこで聞かされたのは隣国トルコとの確執。かつてはトルコもアルメニアオスマン帝国の一部だった。帝国の中で(キリスト教徒の)アルメニア人は少数民族、19世紀末・20世紀初頭の2度にわたり「アルメニア人虐殺」が行われたという。

 

 背景には宗教問題もあるが、一部のアルメニア人がイスタンブールなどの都市部で商人として成功、富裕層になっていたこともあるらしい。以前からビジネスに優れた民族だったようだ。

 

 教育にも熱心で、8歳くらいからデジタル教育をするとの記事もあった。「COVID-19」騒ぎよりも早く紛争を終わらせて「IT立国」としての顔でまた僕らの前に出てきて欲しいものです。