国連総会での反応が象徴的だが、ウクライナのゼレンスキー大統領に対する国際社会の好感度は下がってきている。西側諸国には支援疲れもあるが、グローバルサウス諸国は「いいかげんに戦争を止めてくれ」と言い始めた。ロシアにはもちろん、ウクライナにもだ。エネルギー問題、食糧問題を抱える諸国としては、当然のことだと思う。
ゼレンスキー氏が悪者になる日 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
1年前にこのように考えを述べたのだが、いよいよその日が近づいている。国連の会合では、ウクライナの和平案に対しロシアのラブロフ外相が「全く不可能、戦場で来い」と応じた。それに対する返事なのか、セバストポリのロシア黒海艦隊司令部をウクライナ軍が破壊し、司令官以下34名の将校を殺害したという。
ロシア黒海艦隊司令官を「殺害」、先週の攻撃で=ウクライナ特殊部隊 | ロイター (reuters.com)
主力を向けている南部ザポリージャ州では、ロシアの三重の防衛線を突破できて、要衝トクマクまで一歩に迫っているとの報道もある。ついに(たった30両ほどだが)最強戦車エイブラムスも到着、長距離ロケットATACMSの供与も噂されている。勢いに乗るウクライナ軍だが、残された時間は多くない。
すでにEU諸国でも足並みが乱れていて、最大の支援国米国もいつまでも小切手を切り続けられるわけでもない。今月からの新年度で、つなぎ予算が成立しなければ政府封鎖がおきかねないところまで、バイデン政権は追い詰められている。
さらに1年後には大統領選挙がある。告発されて裁判に臨むことになるトランプ候補だが、「魔女狩りだ」と叫べば支持率が上がる。バイデン候補を担ぐかどうか、微妙な民主党にとっては困った相手だ。もしトランプ政権が再誕生などということになれば、直ぐにロシアとディールするだろう。ウクライナは見殺しにされかねない。
長く見ても余裕は1年半、それまでにゼレンスキー氏はどこまで領土を奪還できるのでしょうか?