先月、名古屋商工会議所で講演させてもらった縁もあって、また別の相談も持ち掛けられた。それは中小企業のIT導入やデジタル活用、またDXなどを促進する活動についてアドバイスを求められたもの。その中には僕の持論「DX with Cybersecurity」も含まれている。
名古屋商工会議所は、名古屋市の繁華街、「名駅」と「栄」の中間にある。付近の公園には、昔の石碑をまねたオブジェが建っていて、ここ「伏見」の位置を示している。かつての名古屋城の外堀である「堀川」沿いではあるが、何しろ名古屋の夏は熱帯並み。地下鉄伏見駅からの3ブロックほどが、砂漠の1マイルにも思える暑さである。
商工会議所のビルに入って、1階のロビーで5分ほど休憩(熱さまし)、おもむろに打ち合わせ会場に入った。
「Pit-Nagoya」というのは、正式名称「名古屋中小企業IT化推進コンソーシアム」。2019年に地域のITベンダー16社が発足したものだが、現在は約90社の規模になっている。事務局は商工会議所に、大手SIerが2社加わっての運営。まずは地域ベンダーの交流や相互支援、さらにユーザ企業のITリテラシー向上、IT導入支援を行っている。具体的には、事例共有や勉強会、経営課題の調査・分析、ITツール活用や補助金活用支援を行うという。
この地域は、伝統的に製造業が多い。太平洋戦争前は軍需工場が集まっていたし、戦後もそれから転嫁した工業が盛ん、トヨタというグローバル製造業もある。これらの企業に、
・働き方改革、生産性向上
・情報セキュリティ
・事業拡大、継続
の取組みを勧めているのだ。常設のIT相談窓口があり、プリミティブな疑問や相談に対応し、必要に応じてIT専門相談員も派遣する。ニーズが見えて来れば、コンソーシアムに所属するベンダーが出向いて、適切な提案を行う。
大企業でも同じことだが、ベンダーが押し売ろうとしても制約するものではない。ユーザがやる気になって初めて、ベンダーとの会話が成り立つのだ。「やる気」のため、
・DX推進セミナー
・IT展示会
などを行い、セキュリティソリューションとしては大手SIerのサービスを再販することで実現している。大阪商工会も凄いのですが、名古屋の取組みもなかなかのものです。精々、協力させてもらいますよ。