会場は商工会議所ビルの会議室、3部屋をぶち抜き70ほどのテーブルが並んでいた。参加予定者は50名ほど、1テーブルに1人の利用で距離を取れるようになっている。商工会の人によれば、関心が高いテーマでいつもよりずっと参加者が多いとのこと。参考までに参加者リストを見せてもらったら「あれ、こいつ・・・」。大学時代の同級生の名前があった。
準備中に彼が入ってきて「名古屋に来るのなら教えてよ」という。まさかこんなところで逢うとはね。彼は東京のSIerに務めていたが定年になって名古屋に戻り、地元企業の取締役をしているのだという。
席が埋まり、定刻になって「総会」が始まった。議題が終われば、僕の出番だ。僕が主張したのは、
・Global&Digitalの時代、加えて地政学的リスクが高まっている
・「DX with Security」は企業成長の必須条件
・サプライチェーン構成企業としての社会的責任
・だからサイバーセキュリティは経営課題
・まだまだ知られていない中小企業支援策も多い
ということ。特に最後の点は、経産省が数年前に始めた中小企業向けのサイバーセキュリティ支援策「お助け隊サービス」が、当初想定したように利用者が増えていないことがある。
サイバーセキュリティ対策は、小さな企業の手に余る。資金も人材も、設備も不足しているからだ。そこでこのサービスは、通常のものより多少機能を落としながらも思い切った価格設定(1/5~1/10)をしているという。しかし利用者が増えないのは、経営者のやる気がないせいだと思われていた。
しかし、この会合のように(トヨタへの納入業者の被害があったせいだけではなく)経営層の関心は高いのだ。「COVID-19」対策同様、支援策が十分に知られていないのではという有識者が多い。そこで僕らも講演する機会があれば、必ず「お助け隊サービス」の紹介をすることにした。
前回述べたように大阪商工会の活動は特筆もので、その地域での「お助け隊サービス」利用者が非常に多い。コツはと聞くと「経営者のところに何度も足を運ぶこと。4回目くらいから話を聞いてくれる」とのこと。ベンダーが行っても経営者はあってくれないかもしれないが、商工会は特別な存在だ。
名古屋商工会も、独自のセキュリティサービスを推奨しているようです。全国でこういうことが広まればいいと思います。
<続く>