Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

土地取引規制法成立(前編)

 先週、今年の通常国会は閉幕した。野党4党は「3ヵ月の会期延長」を求め、与党に拒否されるや「内閣不信任案」を叩きつけたが、粛々と否決されて何も起きなかった。この国会、政府提案の法案の97%が成立したという。

 

・デジタル社会形成基本法

・デジタル庁設置法

・デジタル社会形成整備法

地方公共団体情報システム標準化法

 

 など、僕らにも直接関係のある法案が成立している。これで9月に「デジタル庁」ができ、行政手続きのハンコ廃止や自治体毎でバラバラになっている情報システムの標準化に向けた動きが起る。自治体や納入ベンダーには個々の事情もあって、情報システムを容易に一本化することはできないが、まずは第一歩である。

 

 それらの中に「重要土地利用規制法」がある。これが最後の最後に、未明の国会で滑り込み成立したもの。趣旨としては、

 

自衛隊基地や原発の周辺1km圏内や国境離島等を「注視区域」に

自衛隊司令部など特に重要な施設周辺は「特別注視区域」に

・政府が利用実態を調査、特別注視区域の売買は事前に届け出を義務付け

・重要施設の機能を妨げる行為は中止を命令、勧告。従わなければ罰則

 

 というものだ。一般論として「所有者不明の土地」が増えているし、外国人による不動産取得も増えている。

 

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 このところの国際情勢の緊迫化から、各国も重要施設周辺の土地取引等に規制をかけるようになっている。

 

・米国 昨年の外国投資リスク審査現代化法改正で、軍事施設周辺の不動産取引を規制

・オーストラリア 今年安保上の重要な土地を外資が取得する場合の届け出を義務化

・英国 今年安保上重要な企業に外資が出資する場合に届け出を義務化

 

 日本の「重要土地取引規制法」もこの流れに沿ったもので、これらの国と安全保障で連携していくためには必要なものというのが政府のスタンスだ。しかし当然のように野党や一部メディアは反発、「治安維持法の再来」とか「国民監視の法律、必ず廃案に」と叫んでいる。

 

土地規制法案、沖縄の憂い 「皆が監視対象」、基地反対運動萎縮も|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)

 

 これに公明党が揺らいで、法案撤回ということも危惧された。結局は「低めの手打ち」でやや骨抜き感はあるものの、なんとか成立にこぎつけたというわけ。

 

<続く>