Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「デジ臨」の規制改革案

 昨日まで「インフラメンテナンス業務の産業化」の議論をご紹介した。老朽化が進む日本の社会インフラをどう支えるか、やはり決め手はデジタル化(活用)だと思う。岸田政権の重要機関のひとつ「デジタル臨時行政調査会:デジ臨」が、先ごろアナログ規制撤廃に関する改革案を公表した。

 

インフラ点検などIT化: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 ITがない時代に作られた規制が時代遅れになっているのは、何度も紹介した。ここでは、

 

1)目視規制

2)実地監査

3)定期検査

4)書面掲示

5)常駐専任

6)対面講習

7)往訪閲覧

 

 の7類型について、遠隔監視、テレワーク、Web掲載、書類の電子化・電子送付などを可能にする規制緩和をするという。関連項目は5,000にも上る。ではいつからかというと、2025年までを政府の「デジタル化集中改革期間」と位置付ける以上の情報は、まだない。実施時期公表は、9月まで先送りの公算が高い。これはまだ調整しなくてはいけないことが残っているからだ。この記事でも、

 

・人の代わりを任せられる技術の開発、導入が不可欠

・その体力がない企業への目配り

 

 が必要だとその理由を説明している。

 

        

 

 昨日までの僕たちの議論を見ていただければわかるように、地方の零細事業者がメンテナンス業務を受注できなくなる恐れがあるのだ。純粋な産業論では、異業種(ここではITを使うのに巧みな業界)が参入してきて、従来産業と凌ぎ合い、時には合弁・統合して産業構造改革に至るのだが、今回はハードルが高い。

 

・メンテ産業に旨味が少ないので、異業種が入ってこない

・従来産業が地方自治体や議会、地元国会議員などと深く結びついている

 

 から、規制改革~産業構造改革の流れが見えにくいのだ。

 

 ではどうするかと言うと、この記事にあるように、まず「実証実験の予算確保」。先日訪問した鈴鹿市のように、意識の高い自治体は実証実験を受けてくれるだろう。問題はその先、いかに普及させられるかということだ。

 

 前の規制改革担当河野大臣の「ハンコ撲滅」も、数値目標を挙げてそれなりの成果を産んだと言われている。しかしある大手業界団体の幹部は、苦々しげに「三文判の撲滅に終始している。銀行印、実印の領域に踏み込めていないから0点だと(規制改革提言)担当者を叱った」と言った。

 

 これからのことを、国交省の会合でご一緒している先生たちと、真剣に議論しなくてはいけませんね。