Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

真に必要なデジタル兼務人材(後編)

 デジタル屋であると同時に(アナログ)シミュレーション・ゲーマーである僕は、どんなことも3~4のレイヤーに分けて考える。戦略級・作戦級・戦術級と(戦闘級)である。日本企業は特に戦略級の思考が苦手だ。企業戦略などと書いてあっても、内容は精々作戦級、ひどいのになると戦術級のアイデアを並べただけのものを目にする。

 

 今回のデジタル兼務人材研修、記事によればプログラミング言語を知らなくてもツールを使ってやりたいことを指示すると、プログラムが出来上がるものらしい。これはどう考えても、戦術級のスキルの研修だ。現場の業務を熟知した人がこの能力を身に着けると、今やっている業務をアナログからデジタルで置き換えるシステムはできるだろう。それがDXかと言うと、それでは小さすぎると僕は思う。

 

 まず業務の本質に立ち返り、目的は何なのかを最初に考えるべきだ。例えば新製品の保守をどうするかは、保守員教育の教材をデジタル化するという話の前に、リモート保守をする、出来ない範囲は保守員が行くがせめてAR/VRを使って教育を迅速にするという具合に。要は保守サービスができればいいのだから。

 

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 業務目的をデジタル空間で実現するために、プロセスはイチから見直す。ここに着目できるのが、作戦級もしくは戦略級の人材だ。このクラスの人達の「研修」が必要だと、僕は思う。

 

 身近な例では「COVID-19」騒ぎで急速に普及したテレワーク、労務管理などで苦労している企業も多いと思う。現場の勤労課長にしてみれば環境の激変、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に変わるなんてことになったらお手上げである。そこは全社を見ている人事本部長・執行役クラスの人が、

 

・ジョブ型雇用はこの範囲の職種、管理の手段/評価基準はこれ

・トラブルが起きた場合の連絡基準はこれ、担保するスキームはこう

 

 などと大枠(戦略ともいう)をデジタルリテラシーを持って決めるべきだ。つまり企業の幹部や幹部候補生が、デジタル兼務人材を目指さなくてはいけないのだ。本務を持ってそれに精通している人にデジタル・リカレント教育をと言うのは正しい。しかしそのレイヤーが高いところこそ重要度が増すのだという視点は、あまり紹介されていない。

 

 そうそう、だから最初に研修を受けるのは会長・社長であるべきですね。Microsoftさんには、エグゼクティブ向けコースをご用意いただけたらと思います。