Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「狼戦士外交」台頭のわけ

 先月中国企業の日本法人代表から日中ハイテク交流20年の歴史を聞き、米中対立の今日本企業と中国企業の協力があれば米国企業に勝てるという説を聞いた。ま、そうかもしれないが流石にそんなことは難しいよねと思った。今僕の関心事項の1/3は中国関連なので、どんな意見でも聞いてみようと周りの人に機会があったらよろしくと言っておいた。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/08/04/140000

 

 その甲斐あって、中国経済の専門家に話を伺うことができた。非常に幅広い話で感服したのだが、まず興味深かったのは外交姿勢について。以前は自国への干渉はきらいながらも、あからさまに多くの国と対決するような姿勢は見せていなかった。しかし昨今は米中対立はもちろん、香港で強権をふるってイギリス連邦と敵対、チェコ上院議長の台湾訪問を「恫喝」して欧州とも溝ができた。

 

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 これを「狼戦士外交」と言うらしいのだが、どうしてこうなってしまったのか?専門家の答えは簡明で、

 

・外交部には、孤立を避けるための外交を続けてきたベテラン外交官がいた。

・しかし共産党からTOPがやってきて、人事権を握った。

・孤立を避ける柔軟な外交をすれば、党ににらまれトバされかねない。

 

 とのこと。なるほど「安倍内閣の政治主導による官僚TOP人事」と同じことらしい。いやもっと圧力は苛烈で、ナチス党に軍官僚がおもねったドイツ軍に近いかもしれない。習大人に代表される党が強くなったのねと思ったが、さらにその背景もあるという。それは、

 

・もう中国は十分強くなったという、民意の盛り上がり。

・「COVID-19」だって中国は抑え込めた、欧米の政治体制は脆弱だとの思い。

 

 が背景だとのこと。ひょっとするとその「民意」を作ったのはSNSなどのニューメディアかもしれない。米国などが中国国民全員を敵視せず、1億人未満の共産党員だけをターゲットに非難や制裁を繰り出しているのは「民意」をくじこう、味方に付けようということだ。しかし今回聞いた中国国内事情が本当なら、それは相当難しいことだろう。

 

 ある程度「民意」が盛り上がれば、党本部もそれを無視できない。従わなければ弱虫扱いされて政治的に葬り去られる。嫌な予感がしますね・・・相当量の血を見ないと「民意」が収まらないかもしれません。