ある米国系企業の友人から連絡があり、意見交換をしたいということだった。このところ5G覇権をめぐる米中対立もあるし、各国でデジタル業界への風当たりが強いこともある。中国政府の「国家情報法」による情報吸い上げ、イギリスやフランスでの「デジタル課税」導入、日本政府が提唱した「大阪トラック」での国際的なデータ流通の仕掛け議論も進んでいない。
そんな中で、お互いに中長期的にどう考えているか、当面する課題は何かというのをフランクに話し合おうということだ。ランチミーティングの場として彼が指定してきたのは、僕のオフィスに近い新丸ビルのお店。「Wattle Tokyo」という、オーストラリア料理店である。彼とはアメリカの地でも一緒に呑んだし、こんないいお店ならお酒もと言いたいのだが、話題がかなりまじめな話なのでそうはいかない。
丸テーブルに二人で座る贅沢な席だ。半円形のソファは適度に柔らかい。二人ともお水を貰って、ランチコースを選ぶ。3点のメニューを組み合わせるコースにして、僕は、
・前菜 サーモンのサラダ
・メイン 牛肉のハンバーガーとフレンチフライ
・デザート カラメルとバニラアイスクリーム
を選んで、食後の飲み物はカプチーノにした。
深刻な話なのだが、サーモンのお皿は美しい盛り付けの上に美味しい。ちょっとほおが緩んでしまった。サーモン上に乗っかっているのは、ライスペーパーの揚げたもの。いわばライスチップスやね。
彼の主張は理解できるもので、それが今の政治・経済状況では実現難しい面がある。デジタル企業の事業形態は、旧来型の例えば「ケイレツによる製造ピラミッド」とは根本的に違う。それが政治家・官僚・経済界の重鎮たちのハラに落ちないのだ。
そんな話をしているうちに、メインがやってきた。ちょっと小振りなハンバーガー、トマトとチーズをのせた豪州牛のハンバーグをバンズで挟んである。フレンチフライもアツアツだ。ハンバーガーはかぶりつくのではなく、バンズを取って切り分けて食べた。このやり方、ワイキキのレストランで覚えたもの。
重い話題だったけれど、いいランチになりました。そう、これからも共闘していこうね。デジタル経済の発展に、日本企業も米国企業もないのだから。