Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

14億人を敵に回す?

 チェコ上院議長が台湾を公式訪問、立法院で演説を行った。「難しい状況下で民主主義を築き上げようとしている人たちを支持するのは義務」だと語った。外交関係のない国の要人が、台湾の議会に相当する立法院で演説するというのは異例の事。東西冷戦時代に米国のケネディ大統領が西ベルリンで講演し「私はベルリン市民だ」と言った故事を引用し、「私は台湾人」だとも述べた。

 

 ほかにも上院議長プラハフィルハーモニーの台湾公演などの文化交流を発表、プラハ台北姉妹都市関係もまとめ、今日3日には蔡総統とも会談するらしい。「一つの中国」を掲げている習政権に対して、これまであからさまに台湾を独立国扱いする国はなかったのだが、このところ事情が変わってきている。直接の引き金は香港への支配強化で、旧宗主国英国とその関係国が態度を硬化させ、米国や欧州諸国もこれに続いている。

 

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https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/08/25/140000

 

 台湾海峡が最前線になった印象の出来事は、これからも続きそうな勢いである。これに対して中国政府は猛反発、王毅外相は「一つの中国と言う原則に異議を唱えるということは、14億人の中国人の敵になるということだ」と恫喝した。実は数ヵ月前からチェコ上院議長の台湾訪問は企画されていて、中国政府は再三脅し「卑劣な行為」とまで非難したものの、チェコ側は毅然として訪台を敢行したわけだ。

 

 「14億人の敵」発言には欧州諸国も反発、溝はますます深まりそうだ。王毅外相は、少し計算を間違えたのではないかと思う。14億人というのは諸国から見て「市場」という意味では正しい。しかし「一つの中国」に固執していると確実に言えるのは、そのうちで1億人足らずの共産党員だけではないか?

 

 少なくとも今弾圧を受けている香港の民主派の人たちは、チェコの振る舞いに喝さいを送りこそすれ反発するはずはない。欧米諸国は民主派の人たちを(台湾同様)支援するだろうし、1億人の共産党員には制裁を加えて分断を図ってくるだろう。それにキレた習大人が・・・台湾海峡で不測の事態が起きかねないと思われる。

 

 未だ中国軍は台湾侵攻を完遂できないとの説もあれば、米軍は台湾で中国軍に敗れるとの説もあります。いずれにせよ、血が流れずに収まることを期待するのですが。