Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国デジタル産業と共産党

 Huawei制裁やTikTok買収要求など、米国政府の中国デジタル産業叩きはエスカレートを続けている。もちろんこれは、デジタル産業だけを狙ったものではない。香港での強権発動以降、旧英連邦の中国強硬路線が顕在化したし、台湾にチェコ上院議長が公式訪問し同時期に中国王毅外相が欧州諸国を回ったが、ここでも欧州・中国の溝は明確になった。

 

 背景には中国の「狼戦士外交」があり、それへの反撃の一例がデジタル産業叩きというわけ。実際に国境紛争をしているインドでは、中国製アプリの使用を禁じたともいう。先日中国経済の専門家から話を伺い、なぜ中国が「狼」になったかを解説してもらった。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/09/04/140000

 

 外交のプロたちに共産党政権が大きな影響力を持ち始めたからだというのが、一番短い答え。でもその「影響力」って外交部門だけが受けているわけではないよねと思った。そこでうかがったのは、デジタル産業への共産党の影響力のこれまでと、今後の見通し。

 

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 僕自身アリペイのCEOとはラウンドテーブルを囲んだこともあり、中国デジタル産業とは多少の付き合いはある。そのころの彼らは米国のGAFAなどと同様コスモポリタンで、世界市場を見据えていた。ただ「Great Fire Wall」については反対を唱えることは出来ず、言葉を濁していた。しかし今、彼らに会うことも無くなり人伝てに聞くところによると、共産党の支配が強くなっているように思ったからだ。その象徴が、アリババ創業者のジャック・マーが数年前に突如引退表明したこと。

 

 専門家の回答は、「外交部門同様デジタル産業にも共産党支配は強化されている。マーの引退はその一環。今後も支配力は増すし、政府が全力で支えるから例えばHuaweiは米国が躍起になっても潰せない」というものだった。確かに制裁が強化される中でも、多くのデジタル産業は好決算を続けている。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63386500T00C20A9FFJ000/

 

 しかし僕はデジタル産業の本質はコスモポリタン、中国の彼らもいずれ原点に帰ろうと共産党支配に抵抗するのではないかと思います。これからも中国の産業界からは、目を離さないことにしますよ。