Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

トランプ候補の政府解体論(後編)

 トランプ先生の主張は、米国政府は「Deep State」に操られているので、これを排除し虐げられてきた市民を救うというもの。いわゆる陰謀論だ。「Deep State」の手先となっているエリート高級官僚は全部入れ替える、それが5万人というわけ。

 

 ではその穴埋めはどうするのかというと、すでに共和党シンクタンクである<ヘリテージ財団>などがリクルーティングやトレーニングをしているという。その名称は「プロジェクト2025」(*1)。

 

 無能だったり過激な野心を持つ政治任用の上司に、真面目な官僚が愛想をつかすストーリーは、多くのミステリーで読んだ。その結果、優秀な官僚は辞めていき、行政府は間違った方向に走り出す・・・。いかに<ヘリテージ財団>が有能でも、1~2年で高級官僚を(5万人も!)育てるのは不可能だ。

 

    

 

 まずはバイデン政権の継続を望みながら、「もしトラ」になったらどうなるかを考えてみた。トランプ二期目の混乱は避けられないとして、どうすれば次につなげられるか。一つの方法は、かの国にあって今日本でも議論されている「セキュリティ・クリアランス(SC)制度」ではなかろうか?

 

 官僚もしかるべきポストに就くには、SCの適格性審査を受けなくてはいけない。適格性がないのに無理に就けても、重要情報が教えてもらえないので無意味な存在になってしまう。怒ったトランプ先生が人物にその情報を渡せば、自身が情報漏洩の罪に問われることになる。大統領は免責特権があるとはいえ、情報をもらった人物が何かアクションして問題が生じれば、少なくともその人物は罪に問われ、職を追われる。

 

 つまり適格性審査を(買収などされずに)しっかりやれば、無理なことをしようとしてもできないスキームが作れるという仮説です。当該審査機関にトランプ先生の魔手が伸びないようにしておく必要がありますね。

 

*1:トランプ氏、2期目なら官僚機構に大なた 「忠臣」に差し替え画策―米大統領選:時事ドットコム (jiji.com)