Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

SNSの影響力をどう見るか(前編)

 今週はいよいよ、米国第46代大統領の就任式がある。「ユーラシア・グループ」が今年の十大リスクの筆頭に挙げたのが「第46代大統領」、早速その就任式に紛争が起きないように、州兵2万人が動員されているともいう。

 

 連邦議会乱入・占拠事件は、トランプ大統領自身が「反乱を扇動した」という疑惑がもたれ弾劾訴追を受けるに至った。その前に次の騒乱を起こさせないように、FacebookTwitterはトランプ先生のアカウントを永久追放している。本人だけではなく、最も熱心な「トランプ党員」7万人のアカウントも止まっているらしい。

 

 過激な投稿に甘く、やはり「トランプ党員」が多く集ったSNS「Parler」は、クラウド環境を提供していたAWSがサービスを打ち切ったため、閉鎖に追い込まれた。代替えのクラウドを提供してくれそうなサービサーも、同社は見つけられないでいる。SNSはもちろん、その環境をサポートするものも含め巨大IT産業は、国のオピニオン動向に大きな影響力を持つことが明示される事例となった。

 

米SNSパーラー、相次ぐサービス停止で再開困難=CEO | Reuters

 

    f:id:nicky-akira:20210114191306j:plain

 

 巨大ITの影響力については、特に米国では問題視されていないのに、大西洋を渡った欧州ではTwitter等を非難する声明が複数出ている。ドイツのメルケル首相は「意見表明の自由を制限する行為は法に基づくべき」として、民間企業が独断でこれを行ったことを問題視している。

 

メルケル独首相、Twitterを批判 意見表明の自由重要: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 フランス等からのものも含めて、この非難の表向きの理由は「表現の自由基本的人権」なのだが、同時に「巨大ITの脅威に対して何らかの制約を加えたい」との意図もあると思う。ドイツやフランスでもSNSの利用者は増えていて、報道されないが何らかの危機感を各国政府が持っている可能性は高い。

 

 もちろん巨大ITが儲けすぎている上にフェアな税金を払っていないという話は、欧州委員会の官僚から良く聞かされる。それだけではなく巨大ITが握った膨大なデータやSNS的な情報流通によって、政策が歪められると考えているフシもある。

 

<続く>