Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デフレの克服が目標だった

 バブル崩壊以降、日本経済は「失われた30年」とも言われる長い停滞期にある。僕に言わせればその実態は「Global & Digital」化である。世界を見渡し、安いところで買って、高いところで売る。デジタルデータが活用されてムダが減る一方、人を必要とするシーンは減っていった。

 

 個々人のレベルでも国際競争の荒波にさらされ、その分野のTOPいくつかに入らないと専門家とは呼ばれなくなった。かつて中間層を成していた「その職場・企業・地域レベルでのプロ」たちはデジタルによって淘汰され、低賃金の発展途上国労働者と同じ待遇になってしまった。商品もだが、ヒトもデフレーションの波に吞まれてしまったわけだ。

 

 安倍内閣では「デフレの克服」を掲げて、金融政策・財政政策・成長戦略を3本の矢として推進しようとした。しかしインフレターゲット達成には至らなかった。もちろん金融政策はそれなりに効力を発揮し、デフレそのものは下げ止まった感はあった。

 

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 そこに「COVID-19」禍が襲い、いろいろな変化があった。僕が注目しているのは「この後インフレか?デフレか?」の潮流だ。昨年から少しだけインフレ傾向にはあった。安い輸入品から多少高くても国産化への切り替えもあったし、最低賃金上げという政策も今回出てきた。コストアップ型のインフレはありそうだ。しかし一方で「自粛」をはじめ需要の落ち込みも激しい。デマンドプル型のインフレは見えてこなかった。

 

 しかし米国で物価高騰のニュースが多くなり、外食もガソリンも、中古車も高くなったという。消費者物価指数で5.0%UPというから、これはかなりの「高騰」だ。

 

米インフレ率は今夏にピーク、秋には鈍化へ=バイデン政権高官 | Reuters

 

 政府はこのインフレは秋には収まると言っているが、そうとは限らない。人手不足による人件費高騰(コストアップ型)だけではなく、牛肉の値段が上がるのは中国での需要が増しているから(デマンドプル型)とも言われる。両者が交われば、しばらくはインフレ基調になるように思う。

 

 世界経済はリンクしているから、この波は恐らく日本にもやってくる。デフレ克服ができると喜ぶべきか、インフレの弊害(最低賃金を上げてもらっても、生活は楽にならない)が目立つようになるのか?アフター「COVID-19」のお金事情、そろそろ見極められそうです。