「うわ、やはりいたか」というのが、このニュースを聞いた第一印象。一昨日、ウクライナ・ロシアのどちらも兵力不足に悩んでいる(*1)ことを紹介したが、やはりロシアも国外の義勇兵/傭兵は使っていたのだ。
ネパールから200人入隊か ロシア軍に、6人の死亡確認:時事ドットコム (jiji.com)
ネパールという国名では分かりにくいかもしれないが、世界有数のショートキルの達人<グルカ兵>というのがその正体。独特のククリナイフという湾曲した刀を遣い、白兵戦では向かうところ敵なしと言われる。WWⅡでは英連邦の一員として参戦、欧州戦線では大柄なドイツ兵を苦しめ、イタリア兵などは歯牙にもかけなかった。
アバロンヒルの戦術級大作ゲーム「Advanced Squad Leader」では、ドイツ軍相手なら白兵戦力2倍、イタリア兵相手なら3倍の戦闘レートが設定されていた。ビルマ戦線では日本兵とも戦った。当時の日本指揮官は「小柄だが剽悍な兵士で、樹上に隠れていて奇襲してくる」と警戒していた。ククリナイフは短く見えて、意外と手元で伸びてくる。「見切ったと思ったら、斬られていた」という話も聞いたことがある。
寒冷地も、山岳地も、市街地も、見通しの効く大平原以外での戦いを得意としている。正直ウクライナ軍には手ごわい相手、遠くにいるのを見つけてAFVで吹き飛ばすのが最善策だが、すでにがれきや塹壕だらけになった東部戦線ではそれも難しい。
夜間に少人数で浸透してきてナイフを振るうのが最強戦術だが、ウクライナ軍が対抗するとしたらドローンの赤外線探知センサーくらいだろうか?20世紀最強の戦術と21世紀の戦術のぶつかり合い、わずか200名の部隊(*2)とはいえどのように進展するのか、注意しておきたいです。
*1:原因はちょっと違う。ウクライナは徴兵逃れなどあり予備兵力不足、ロシアは人命を軽視しているから。
*2:これも全くの推定値