Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

こちらも悲惨な我慢比べ

 先週、ようやくガザ紛争の出口が見えてきた。ネタニヤフ首相は「ハマスを根絶」と戦いの目標を挙げていたが、ハマスは人でも組織でもなく思想なので、根絶は無理。戦いは延々続くと思われていた。しかしここにきて「ガザ地区トップのヤヒヤ・シンワル指導者を殺害するか拘束する」ことで、兵を引く可能性が出てきた。とにかく停戦をという国際社会の望みは、この線で実現するかもしれない。

 

 もっと以前から行われているウクライナ紛争、こちらも悲惨な我慢比べが続いている。ウクライナ軍が欧米からの支援を得て半年以上続けている反転攻勢も、成功したとは言えないようだ。ヘルソン・ザポリージャ両州での攻勢はとん挫しているし、ドネツク州ではロシア軍の激しい攻撃に戦線を維持するのが精一杯。

 

        

 

 冬が来ているが、どうやら戦線は膠着し年を越すだろう。米国からの支援が年内で途切れる可能性もあるが、これまで善戦してきたウクライナ軍も兵士の平均年齢が上がり、40歳では若手だともいう。

 

 この話は、100余年前の日露戦争を思い起こさせる。日本は海戦では勝利をしたものの、旧満州での陸戦では膠着状態に陥っていた。「徴兵を40歳まで拡大して・・・次に45歳まで拡大して」ようやく今後の兵力を維持できると、軍のスタッフが報告する。50歳が平均寿命のころである。これでは持たないと、日本政府は講和を考える。

 

 ウクライナもロシアに比べて小国なので、人的資源が払底してきているのだ。一方のロシアも、決して楽ではない。空挺部隊を再編したものの、訓練が十分ではないままドニプロ川戦線に投入されている(*1)と伝えられるし、なにより戦死者が急増しているとの報道(*2)がある。大都市部に比べて地方(特に辺境ともいうべき中央アジアや極東)から、消耗品として兵士を徴発しているのだろう。

 

 「プーチンを勝たせてはいけない」とバイデン大統領は言います。それに異論はないのですが、たとえ非人道的でも兵士の命を叩きつけるロシアの戦術に、ウクライナがいつまで耐えられるか・・・でしょうね。

 

*1:ロシアが新設の精鋭部隊、十分な訓練受けず危険地帯に送られる | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

*2:ロシア 派兵で戦死の兵士急増 サハリンで慰霊碑の除幕式 | NHK | ロシア