Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

本気のサイバー防衛体制構築

 防衛費GDP2%議論が盛んである。岸田総理からは具体的に「2027年度に1兆円不足になり、増税で賄う」主旨の発言があった。これには、

 

・中身を詰めないで金額ありき

増税は市民に理解されない、国債という選択肢もある

 

 などと議論百出である。僕も2%に拘る金額ありきの議論は困ると思うし、欧米基準と言うなら、

 

・今は防衛費の外にある、海上保安庁等の予算

・米軍駐留費肩代わり等、いわゆる思いやり予算

 

 も入れて議論して欲しい。一方、予算や税金の話に隠れがちだが、着実な防衛体制整備の議論は進んでいるようだ。今週日経が報道した、サイバー防衛強化の施策は非常に価値あることだ。

 

サイバー防衛で法整備、平時から攻撃元監視 防衛3文書: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

    

 

 今年の初め、米国の重鎮ブレア元提督が「日本のサイバー防衛能力は低い」と発言したのは、日本のサイバー防衛にあたって多くの制約があると指摘したもの。防衛目的でも、通信の秘密は侵せないし、機器の捜査も「不正アクセス」として禁止、研究目的でもウイルスを作れば罪になるという次第。

 

 攻撃元の特定(アトリビューション)や被害の局所化には、予め攻撃者と思われる対象にウイルスを仕掛けておき、動いたら検知できるようにしておくのが有効。いわば「囮捜査」のようなもので、これまで日本では実施されていないと思う。

 

 昨年サイバーセキュリティ戦略改訂の議論で「攻撃者優位を覆す」という項目があった。それにはこの記事にある「攻撃元の監視」は必要だと、僕も思っていた。それらがようやく実現に向けて動き出すのだ。先日「自衛隊を闘える軍隊」にする方向性を教えてもらったのだが、正面装備の競争だけではNG、RMAが重要だと考えた。

 

ようやく闘える体制に、でもその次は - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 これで、本気の体制構築が見えてきました。ようやく日本が普通の国になれそうな、そんな予感がします。関係各位に感謝です。