Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

16,000人のプラスセキュリティ人材

 「プラスセキュリティ人材」という言葉は、あるシンクタンクの研究者が言い出したもの。5年余り前、経産省が「19万人のサイバーセキュリティ人材が不足する」という調査報告を出した。でも<NCIS>のマクギー捜査官のように、高度なクラッキング能力を持つ人材をあと19万人って現実的ではない。「じゃあどんな人材が不足しているのか」という研究の結果、他に専門能力やポストを持ちながら、サイバーセキュリティのリテラシーを併せ持つ人材が不足していると分かった。

 

 例えば企業の広報責任者。自社がサイバーインシデントに見舞われ、メディア等への情報提供を迫られた時、広報部門にこのリテラシーが欠けていると、徒に社会不信を煽ってしまうかもしれない。

 

 以降「プラス・・・」は産官学の知己の間では、ポピュラーな言葉になった。それまでサイバーセキュリティ教育は主に理系プログラムばかりだったが、文系向けのものも生まれつつある。ある大企業は、全正社員3万人を「プラス・・・」にすると宣言した。

 

    

 

防衛省、サイバー攻撃の対処人員2万人に拡充…中露念頭に「能動的サイバー防御」強化 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

 

 防衛力強化の議論が盛んだが、その中でもサイバーセキュリティ能力の強化は重要項目。いわゆる「Active Defense」を可能にするとともに、現状900人程度の自衛隊サイバー要員を、4,000人まで拡充するとの計画が発表された。それに併せ、16,000人のサイバー知識を持った一般隊員を養成するともいう。これって自衛隊の「プラス・・・」だよね。普通の産業人よりはリスク意識が高い人たちゆえ、期待することも多い。

 

 それはいいのですが、自衛隊サイバー部隊は自衛隊しか守れません。ウクライナ紛争に見られるように、民間インフラへの攻撃は市民に対する脅威です。民間も守れる自衛隊サイバー部隊への脱皮を期待しているのですが。