Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

もう核兵器に頼るしかない?

 ロシアの侵攻軍約20万人の陸上兵力に対して、ウクライナ軍の常備軍がほぼ同じ19万人。もちろん全軍が前線に出ているわけではないし、航空戦力や装甲軍の数においては非常に劣勢だ。しかしこれまでの状況を見ると、ロシア軍は電撃戦に成功していない。電撃戦の要諦は敵軍の神経(筋肉ではない)をマヒさせ、戦意をくじくことにある。だが、報道によると捕虜になったロシア兵士が「プーチンに騙された。演習と思っていた」と告白するなど、ロシア側の戦意に問題が見えてくる。

 

 戦禍が始まる前、ウクライナの女性がライフルを買って「祖国を守るの」と言っていた映像を見て、まさかと思った。確かにレミントン700クラスの威力のありそうなライフルだったが、兵士と素人では戦闘にならないはずだ。ただ黙々と火炎瓶を作る映像もあって、ウクライナ人の戦意は衰えていないようにも思った。

 

 これまでの戦況を見ると、大統領が真っ先に逃げ出した昨年のアフガニスタンとは違い、政権は容易に瓦解しない。元CSIS上級研究員のルトワック氏は言うように「大国は小国に勝てない」パターンにはまりそうだ。

 

逆説的論理による中国分析 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

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 ロシア軍としては戦略目標のキエフを早期に包囲攻略して、親ロシア政権の樹立を果たしたい。しかし、それも容易ではなさそうだ。ウクライナの平原で行われている戦闘は、第二次世界大戦の時代から大きな進歩はない。しかし当時とは違うもののひとつに「衛星情報」がある。以前は航空偵察によるしかなかった映像が、衛星から世界に配信されるのだ。

 

ロシア軍車列、約64キロの長さに膨張 キエフに進軍: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 僕が注目したのは、キエフに至る以前に伸び切ったように見える補給線。

 

戦争という仕事の9割 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 にあるように「戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る」のは事実。この映像情報から読み取れるのは、64キロの長さになってしまうほどの渋滞が起きているということ。これが進撃ではなく渋滞なら、ロシア軍の兵站は危機的な状況にある。

 

 大ロシア平原で兵站が崩壊して敗れたのは、ナポレオンとヒトラー。続いて3人目にプーチンという名前が並ぶことになるだろうか。行き詰ったら、プーチン大統領には「核」という手段しか残されていない。とてもいやな予感がしますよ。