Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

広島に地下鉄がない理由

 この街は、10年ほど前は結構通ったところである。この地域の有力企業と、協力関係にあったからだ。東京から行くには、新幹線はまだるっこすぎる。飛行機はというと、飛行場が遠い恨みがある。それでも結局のところ、飛行機利用が多かった。

 

 空港シャトルバスで、広島駅(新幹線口)かバスセンター(リーガロイヤルホテルの前)までやってくると、そこからは市内電車が使える。特にバスセンターの前には、紙屋町東紙屋町西の2つの電停があって、市内電車ネットワークの中心的な役割をしている。

 

 人口約120万人、堂々たる政令指定都市なのだが、広島市には地下鉄がない。理由は2つあると現地の人に聞いた。ひとつは中心市街地全体が大河の河口にあり、地盤が砂地だということ。もちろんチューブを通すような工法なら掘削は可能なのだが、比較的工事が難しいようだ。

 

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 今回の出張では、広島駅始発の電車に乗り紙屋町の西「原爆ドーム前」の電停まで行った。国際会議場の最寄り駅である。そこに行くまでに、電車は大きな川を3つ渡った。電停名は、古い街の名前が中心。「胡町」とあるのは、昔外国人街だったからだろう。「八丁堀」とあるのは、今は埋め立てられてしまったかもしれないが運河か、広島城の外堀があったところだからかもしれない。

 

 地下鉄のないもう一つの理由が、この広島電鉄「ヒロデン」の存在。地下鉄ネットワークができれば、混雑する自動車と共存している市内電車は廃止されるのが普通。市民がそれを認めないというのだ。広島市民が熱烈に愛してやまないのは、「広島カープ」と「ヒロデン」というわけ。原爆投下の翌日には運転を再開したといい、市民生活に不可欠なものと思われている。

 

 もちろん「ヒロデン」も企業努力はしていて、新しい設備や車両を導入している。いつごろからかは分からないが、ICカード乗車券が使えるようになっている。電停では、次の電車の到着予定や行き先を表示されるところもある。電車も1両編成から4両編成まで、製造時期も含めてまちまちだ。

 

 写真は、帰路に「紙屋町東」電停から広島駅に向かう途中で撮ったもの。たまたま往復とも新鋭の4両編成だったが、古い1両編成も味があって捨てがたい。地下鉄は当然ながら車窓が寂しい。ここ広島では、まだしばらくは市内電車を楽しめそうです。