Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

本当なら嬉しい話だが・・・

 先週産経新聞の「独自記事」として、日本政府にセキュリティ・クリアランス制度の導入の動きがあるとの報道があった。確かに他のソースには同様の記事はないので、スクープであることは間違いがない。

 

<独自>機密情報取り扱い資格を制度化へ 経済安保、改正案を来年提出 - イザ! (iza.ne.jp)

 

 これまでクリアランス制度については、何度もこのブログで紹介してきたし、本当に経済安全保障を民間を巻き込んで推進するなら絶対に必要だと訴えてきた。

 

セキュリティクリアランスとは? - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 国際的な緊張が高まっている上に、サイバー攻撃の手法が高度化しリモートで社会経済を破壊することも出来るようになった。サイバー空間はすでに準戦時状態から戦時に移行してしまったといっても過言ではない。社会を支える重要インフラの運営を担っているのは民間企業がほとんどだから、民間人を含めたインテリジェンス共有は必要なはずだ。

 

        

 

 米国にはこの制度の資格者が400万人ほどいて、政府機関から民間に移っても、そのことによって資格をはく奪されることはない。だから分厚いインテリジェンス層があって、社会全体を支えている。

 

 しかし日本では公務員を対象にした「特定秘密保護法」を制定するにあたり、国会では大変な思いをしたという政治家・官僚が多い。民間人の罰則を与えるような制度整備は、とても不可能だとの意見も聞く。だから僕はあきらめていて、とにかく米国等の制度を調べることと、政府には「民間含めたセキュリティ・クリアランス制度が要りますよ」とのオピニオン発信を続けるしかないと思っていた。

 

 しかし、この記事が本当なら、その方向に動き出しているということで、歓迎したい。政府与党も、参議院議員選挙中だというのに、よくリークしたものだとも思う。まあ、選挙の争点になるようなこともないと見切ってのことかもしれない。

 

 ただこの記事にあるように「資格を取るための審査でプライバシー侵害の恐れがある」というのはいただけない。米国の制度には「体力の審査」と言う項目もあり、これは拷問に耐える能力も含むという。飲酒歴などのプライバシーがバレる、などという可愛いものではないことは、一般市民にもご理解いただきたいものである。