Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

言いたいことは「自助」のようだ

 沖縄県のひとりあたり県民所得は47位、つまり全国最低である。内閣府特命担当として沖縄も担当している河野大臣が、自分の任期中に順位を46位に上げると発言した。ただその後、「これは県や自治体が主体的にやっていかないといけない。考えて動いてほしい」と国が主体ではないと強調もした。要するに「公助」をあてにする前に「自助」をちゃんとせよということだろう。

 

 かつて第二次世界大戦の戦場となり、長く米国の治世下にあったことから、戦後復興の意味もあって「沖縄振興予算」が毎年政府で設定されている。現在の規模は、総額3,010億円。主なものとして、

 

・公共事業関係費 1,420億円

 どこでも地域振興といえば、土木工事などの公共事業が最初に来る。高速道路も整備されているし、宜野湾の田芋畑周辺に立派な道路もできているのを僕も見ている。首里城の修復にも使われるという。

 

・沖縄振興一括交付金 1,014億円

 大臣が言及したのは、多分これの使い方。観光や産業振興、離島・福祉にも使われるのだが、まず県側が事業選択をして国に申請、内閣府が直接交付したり各府省の交付金に入れ込む形で現地に交付される。観光業・農林水産業・IT産業などの育成に係るものの他、学校施設環境改善(文科省)・水道施設整備(厚労省)・社会資本整備(国交省)などもある。

 

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・沖縄振興特定事業推進費 55億円

 一括交付金を補完するもので、自立的発展に寄与する事業で特に迅速に対処する必要があるもの。

 

 振興予算は国と県の仲が悪いと減額されることもあるようで、かつて乗ったタクシーの運転手は当時の県政が革新知事だったことから、「道路の予算が減って、こんなにボロついてる」と嘆いていた。公共事業もそうだが、産業育成のための予算については、その目的がより重要。県や自治体がちゃんとしたビジョンをもって地域産業を育成しようとしない限り、毎年降ってくる交付金で食いつなぐことになる。

 

 ビジョンを示したものが「計画」で、ちょうど来年度で期限を迎え新計画を立てるタイミングでもあるので「漫然と作るのではなく、データに基づいてしっかりと計画を」と大臣が注文をつけたわけだ。

 

 困窮している人が多い中でも、あきれるほど立派な施設があるのが沖縄です。「自助」で平均所得を上げていくことができるかどうか、僕もまた現地で見てきたいと思います。