Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフレ目標2%を阻止したもの

 昨日「アークランドサービス」の業績が好調で、「かつや」「からやま」などは値上げをしていないと言ったのだが、これは例外。「いきなりステーキ」も「吉野家」以外の牛丼チェーンも、駅そばなども外食は値上げラッシュ。来月には電気・ガスも値上げだというし、スーパーマーケットでも食材(パン・小麦粉・食用油等)が値上がりしている。

 

 これってもう政府・日銀が言う「インフレターゲット2%」は達成してしまったのではと思ったのだが、金融政策転換の気配は見えない。米国などは年内4回の利上げを計画しているとも伝えられるのだが、日本は取り残されてしまうのではないかとの危惧をもった。

 

 こんな時、たまたま古い付き合いのエコノミストから話を聞く機会があった。彼とは20年ほど前にある業界団体の勉強会で知り合い、その後も時々教えを乞うことができる。彼によると、

 

・日銀は「COVID-19」対策の株価買い支え(ETF購入)は手じまい済み

インフレ目標2%は維持だが、現下のコア指数は上昇したとはいえ0.5%ほど

・エネルギーを除くコア指数は、未だ▼0.5%

・ただスマホを除くコア指数では、2021年末には2%を達成

 

 しているとのこと。

 

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 これはどういうことかと言うと、もともと物価のコア指数には変動率の高い生鮮食品は入っていない。それは2021年後半上昇を始め、年末には0.5%まで上がってきた。この中から昨今高騰しているエネルギーを除くとまだマイナス、つまり上振れ要因の大きなものは原油高だというわけ。

 

 逆に下振れ要因は何かというと、スマホが挙げられていた。これはスマホ単体価格の事ではなく関連サービスの値段だから、例えば通信料値下げが効いているのだ。菅政権の目玉政策だった通信料値下げが、結果としてインフレ目標阻止に効果があったことになる。

 

 総務省電気通信事業者いじめにも見えたこの政策、消費者には歓迎されているはず。それが物価を押し下げる大きな要因にまでなっていたことを、今回改めて知った。政府・日銀の重要施策である「インフレ目標2%」に反してまで断行した通信料下げだったわけだ。

 

 これを英断と見るか、ポピュリズムと見るか?もし後者だったら、どうしてあんなに不人気だったのですかね、前政権は。