Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デフレ・円高圧力強まる?

 前の安倍政権から引き続いてだが、自民・公明連立政権は「デフレ脱却」を経済政策の一つの柱に据えている。「デフレだから物価が安くなっていいじゃない」というのはマクロ経済からすると間違いで、企業の売り上げが下がればコストカットに走るのが普通。先日の「連合要求ベア2%」なんて夢のまた夢である。

 

 生産者は消費者でもあり、自らの手元が寂しくなれば消費を控える。そうなれば生産もしぼみ、いわゆる「デフレスパイラル」という状況で経済は縮小してゆく。だからそれを脱却するため「ゆるやかなインフレ」を経済目標にしたことは正しい。しかしこの10~20年、日本経済がデフレと言われているのはグローバル化のゆえだと、以前(2016年ころ)申しあげている。

 

デフレの正体、NINJA編 - Cyber NINJA Archives (hatenadiary.com)

 

 海外から、労働力も含めて安いものが入ってきているのだから、物価が下がるのは当然。日本の中で賃金格差が開いているように見えるのは、グローバルに見れば平準化しつつあるのだと、上記の記事で説明している。

 

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 一方で為替政策は円安誘導、相変わらず輸出産業主導の発想である。その結果国内の資産価値を不当に下げデフレっぽい環境を作ったことも、上記の現象に拍車をかけたように思う。しかし現政権はあくまで「ゆるやかなインフレ」という表看板は下ろしていない。そこに「COVID-19」騒ぎで、高級食材などが安くなり始めた。また「携帯料金引き下げ」も政策に挙がっている。

 

 野菜が取れすぎて出荷するだけ赤字というのは、気象という変動要因が大きいからだが、今年10月の総合物価指数は前年比ー0.4%。生鮮食品を除いてもー0.7%、同じく変動要因の大きいエネルギーを除いてもー0.2%と、3指数ともにマイナスになった。

 

 また円ドル為替レートは104円近辺をうろうろしていて、一時期の円安誘導は効かなくなってきている。僕は$1=100円が適正基準だと思っているから気にはならないが、これに頭を抱えている人も多いようだ。じわりじわりとやってきた圧力は、逆にすぐには解消が難しい。

 

 ただでさえ「COVID-19」騒ぎで苦しんでいる人が多いです。ここでデフレ・円高が顕著になると、ますます企業はリストラに走るでしょう。やはり国難だと思いますから、与野党協力しての経済対策議論、よろしくお願いしますよ。