Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ATMが通帳を食べた!

 日本興業銀行・第一勧業銀行・富士銀行が合併して出来上がった「みずほ銀行」。3メガバンクの一角を占める雄だが、システム統合に手間取りそちらの面で有名になった。3つの銀行のメインSIerが全部違っていたという不利もあったのだが、なかなか完成しない全体システムに「IT界のサグラダ・ファミリア」と揶揄されるに至った。一昨年バルセロナで「本家」を見たが、急ピッチで工事が進んでいて、ひょっとしたら追い越されてしまうのではないかと危惧した。

 

 それはさておき、先週末システム改修に伴って何か不具合が生じ、5,500台ほどのATMのうち約3,000台が機能停止したという。定期預金システムの改修だとのことだが、長年屋上屋を重ねるように積み上げてきたシステムだったのかもしれない。何かいじると思わぬところに火花が散るようでは、正直現在の技術(言語や開発手法)で全部作り直した方が早いような気がする。

 

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 技術者たちは週末頑張ったようで、週明けにはシステムはおおむね正常に戻った。おおむねと言ったのは、店舗外ATMのいくつかは個別の対応(再立ち上げ)が必要だったからだ。障害の時ATMを使っていた利用者は、突然ATMがあらぬ動きをし、通帳やキャッシュカードなどを呑み込んでしまったことに困惑したという。通帳などを取り返そうとしても、頑丈なことでは大抵のものにヒケはとらないATM、個人ではどうにもならない。

 

 別に銀行さんの肩を持つわけではないが、何か異常があった時咥えこんでいるものを呑み込むのはATMとしては普通の行為である。これが切符の自動販売機などだと、一般には「異常時には、吐き出せ」という仕様になっている。しかしATMはお客様の財産たる、現金・通帳・キャッシュカードを扱っている。これを吐き出して、何者かに横取りされる愚は犯せない。だから選択の余地なく「呑み込む」わけだ。呑み込んだものは厳重な警備の元で保守員が取り出し、正規の持ち主に本人確認の上お返しすればいい。

 

 店舗外設置ATMの場合はそういうことも巡回保守員が行うから、全部を再立ち上げするのに時間を要しているのだろう。キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、まだ多くの人がATMのお世話になっている。事故の時、通帳などを食べられてしまっても決して慌てないでくださいね。時間はかかっても手作業で復旧し、必要なものは返してくれますから。