Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

英語離れになるかも

 新しいインド太平洋の安全保障スキーム「AUKUS」、英米豪の三国によるもので、あからさまな「対中包囲網」である。先日紹介した空母「Queen Elizabeth」の極東遠征も、その一環。オーストラリアはこのところ中国との軋轢を深めていて、中国が買わなくなったワインや牛肉が日本にも安く流れてきているようだ。

 

 今月、米豪間に「原潜技術の供与」契約がまとまり、オーストラリア海軍が原潜保有国になる見通しが立った。この種の技術が米国から外国に供与されるのは、20世紀の対英国だけだそうだから歴史的なことだ。ただこれは豪仏間の潜水艦共同開発計画が進行して居たのをしていたのを破棄することにもなったから、フランス側が黙ってはいない。裏切られたとばかり、米豪両国から大使を引き揚げる事態になった。この動きにはドイツも協調、米国を非難し始めている。

 

独、豪の潜水艦開発契約破棄巡り仏と連帯 米国を非難 | ロイター (reuters.com)

 

 NATOという枠組みで対ロシアの同盟を堅持してきた欧州各国・英国・米国だが、この10年ほどある種の変化が見られる。

 

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・エネルギーでロシア依存が強まるドイツら

・「Brexit」に象徴される、英国の欧州離れ

・トランプ先生の「America First」とプーチンとの個人的蜜月

 

 バイデン政権になって「America is back」とはなったものの、NATOの枠組みは弱体化してしまった。僕がお手伝いしているあるイベントも、NATO資金で運営していたものが「自立」を迫られている。

 

 やはり英国が欧州大陸を米国につなぐ「結節点」になっていたことは確かで、英米の主戦場がアジアに移ったこともあり、欧州委員会との別離は現実的なものになりつつある。その結果だが、欧州員会は「英語禁止」を言い出すかもしれない。

 

 ブリュッセルにある欧州委員会のコストの大半は、翻訳料だという。英国なき欧州委員会では、英語が公用語である必要はなく、対英語翻訳コスト削減になるかもしれない。では公用語はドイツ語(オーストリアやスイスもドイツ語圏)になるかフランス語、ひょっとしてラテン語になるかは、不透明ではあるが。

 

 ちなみに中国でも種々の締め付けの中に「英語教育禁止」が盛り込まれたという情報もあります。英語という「覇権」も、ちょっと曲がり角に来ているのかもしれません。