Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

まだ早いと思うのですが・・・

 衆議院議員選挙が迫る中、自民党塩崎恭久元厚労大臣が次期選挙に出馬しないと表明された。二世議員だが日銀出身で政策に明るく、英語が堪能の国際派である。第一次安倍内閣では官房長官を務め、厚労省の「消えた年金」事件では大変苦労された。第二次安倍内閣ではその「元凶」厚労省の大臣となり、その改革に努められたのだが、今回の「COVID-19」への対応を見ると、

 

・医系技官を含む厚労官僚

・開業医中心の医師会

自民党内の族議員

 

 からなる「鉄のトライアングル」を打破するには至らなかったようだ。

 

 塩崎先生とは何度か勉強会でご一緒させてもらったが、一番印象に残っているのは一昨年、ロンドン・カンタベリーの出張にお供したこと。「日英21世紀委員会」という国際会議で、一昨年まで1年ごとに日本と英国で交互開催されている。1984年に中曽根首相・サッチャー首相が合意して設立された民間レベルの政策対話フォーラムだという。今は塩崎先生が日本側の座長(英国側がランズリー卿)で、

 

・日本/英国の政治状況

・貿易投資と世界経済

・エネルギー問題

・中国とロシア(安全保障)

・デジタル革命と政策

 

 をテーマに2日間議論が重ねられ、僕はこの会合で初めて取り上げられた、デジタル部分の日本側プレゼンテータを務めた。

 

    f:id:nicky-akira:20210620065914j:plain

 

 民間レベルのフォーラムという建付けだが、参加するのは国会議員を始め霞ヶ関OBなど要人が多いので、現地大使館をはじめ手厚いもてなしだった。ロンドンでの数次のレセプションやパーティ、カンタベリーでの真剣な討議を通じて座長の塩崎先生にはずいぶんお世話になった。参加者の中で一番英語が下手なのが僕だったので、ご迷惑をかけたようにも思う。写真はロンドンでのレセプションで挨拶される塩崎先生。

 

 その間公式・非公式の意見交換を通じて、塩崎先生の政策論や国際情勢認識を聞くことができた。まだ70歳、政治家としては脂の乗り切った頃合いである。不出馬の理由は、

 

・政策課題に一区切りがついた

・奥様の体調が思わしくない

 

 とのことだが、正直「引退ならまだ早い」印象。もう1期続けていただき、「COVID-19」騒ぎが落ち着いたらもう一度英国に渡っての議論を仕切っていただければよかったのにと思う。日英21世紀委員会の後任はどなたになるのでしょうかね?