Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

上に政策あれば、下に対策あり

 「COVID-19」禍では、困窮している人たちの報道ばかりが目立つが、創業以来の最高益を出している企業もある。経済社会は大きな変貌を遂げ、いわゆる「K字回復」の途上にある。日経平均は30,000円前後で推移、ダウ平均も33,000ドルを超えてきた。これをバブルだと警鐘を鳴らす人、まだまだ行けると煽る人が入り乱れて、証券業界を含む金融界は元気いっぱいである。

 

 僕自身も、証券会社と「バイデン政権が2兆ドルのバラ撒き政策をしている。インフラ投資・R&Dにも8年間で2兆ドル投資すると言っている。カネ余りは解消されないので、当面株価はもつ」と話し合っている。

 

 しかし、懸念材料がないわけではない。先月から野村HD、クレディスイス証券、みずほHDなどで、巨額損失が発生している件だ。最初の「噂」から1ヵ月ばかり経って、ようやく本質らしい記事が出てきた。

 

2200億円が蒸発…野村が被った「アルケゴス・ショック」の本当の怖さ "損失の連鎖"が起きる可能性がある | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

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 震源地はファミリーオフィスという業態のアルケゴス社の経営危機。僕らに馴染みのない「ファミリーオフィス」とは、レバレッジを効かしたデリバティブ取引を個人資産運用に限定して行う金融業のこと。驚いたことにリーマンショックのタネを作ったヘッジファンドと、法人・個人と対象の違いこそあれ同じようなギャンブル投機をしている業態だ。

 

 リーマンショックの後、ギャンブルに規制がかかった法人相手から、規制対象外の個人相手へとヘッジファンドのギャンブラーたちは転業していると思われる。これぞまさに「上に政策あれば、下に対策あり」の典型例ではないか。デリバティブ的な手法については、リスクが大きすぎるのが問題。規制の方向は正しいのだが、こんな抜け穴があったとは!

 

 この記事にあるように、まだ全貌が見えてこない。多くのリターンを産む業態ゆえ、株主の顔色をうかがう金融業経営者には魅力的な投資先だ。多くの金融機関が多少は関わっていたと思われる。もちろんどのくらい関係していたかは「秘中の秘」で、その結果金融機関相互の疑心暗鬼に繋がりかねない。

 

 当面IMFが言うように世界経済は回復基調にありますが、伏兵があるとしたらこの件が有力候補です。当局が早く実態解明してくれることを、小さな投資家として望みますよ。