Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

民主主義・資本主義の終わり?

 日経新聞が、今週から「パクスなき世界~夜明け前」とする連載を始めた。最初の見出しは、

 

・世界裂く「K字」の傷

・民主・資本主義、修復へ挑む

 

 である。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」、それがいなくなった今、世界には秩序をつかさどる国はない。「K字」とは上向きの回復をする企業・個人の一方で、より落ち込む企業・個人がいることを指す。バイデン大統領が「民主主義はもろい」と発言したが、これは日米欧すべての先進国に言えることだ。

 

 ポピュリズムが台頭し、政治はその機嫌をとろうと財政出動をして赤字を膨らませる。バイデン政権は「COVID-19」対策として一人当たり1,400ドルの給付(これで3回目)を考え、最低時給を15ドルに上げようとしている。このような社会の混乱は、決して「COVID-19」だけのせいではない。富める者はますます富み、貧しいものはより貧しくなるのは、21世紀のトレンドで「COVID-19」はそれを加速させただけだ。

 

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 先進国ではいずれも中間層の貧困化が進み、その結果民主主義が揺らいでいる。また社会を豊かにしてくれるはずの資本主義が、資本が一部資本家に集中することで民衆の敵になっている。だから日経は「民主・資本主義の修復」という言葉を使って、警告している。この事態、2014年発表の下記の本に、極めて正確な予測がされている。

 

超マクロ経済学による説明 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 本書の著者水野和夫氏は、日本の金利ゼロを見て、いずれ世界で資本主義も民主主義も倒れると予測している。金利は資本主義の鼓動、これがゼロになったら資本に意味はなく資本主義は終わるという。そもそも先進国が資本主義で豊かになれたのは、フロンティアがあったから。フロンティアから資源を安く仕入れ、大きなリターンを産めた。先進国の労働者は豊かになり、民主主義台頭の主役になった。そのフロンティアがもう地球上にないのだから、両主義は終わるということ。

 

 この書では、日経が中国+香港のGDPは2030年に日米の合計を抜くとしている中国でさえ、バブル崩壊すると予測している。本来資本主義・自由経済は「過剰」になりやすい者、日本のバブル崩壊・米国のリーマンショックは「過剰」が引き起こした必然だとあります。

 

 つまりどうあがいても日経のいう修復は無理ということですね。新たなフロンティアが出てこない限りは。