Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

エスカレートさせない戦い方

 先週、米軍がシリアの民兵組織の拠点を空爆したとの報道があった。10日ほど前にイラク北部アルビル国際空港の付近で、米軍兵士を含む部隊の拠点にロケット弾攻撃があり、現地人1人が死亡、米軍人も負傷したという事件の報復と見られる。

 

CNN.co.jp : 米軍がシリア空爆、イラン支援の民兵施設が標的

 

 アフガニスタン・イラン・イラクレバノン・シリアのあたりは、一体どうなっているのか僕には全く分からないところ。北からはロシアやトルコも目を光らせているし、西にはイスラエルという「軍事大国」も控えている。治安維持のために米軍が駐留している地域もあるが、トランプ政権は駐留経費削減のために一部兵力削減をしたいたはずだ。

 

 30年ほど前「湾岸戦争」というのがあって、結果としてサダム・フセイン率いるイラクは崩壊した。凶悪な独裁者と宣伝されたフセインだが、確かに強権的な政治手法は採っていたが、イスラム国家の中では当時のイラクが開放的な国。なにしろ女性兵士がいたのだから。隣国イランとは犬猿の仲で、かつては「イラ・イラ戦争」と呼ばれた泥沼戦も闘っている。

 

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 フセインクウェート侵攻にキレた米国ブッシュ(父)政権が多国籍軍を編成して、数年かけてフセインを追い出し、最後は殺してしまった。その結果、この地域の不安定さが増し、米軍は駐留せざるを得なくなったわけだ。フセイン政権を飼いならす方が、戦略的には優れていた選択肢だったと思う。

 

 このあたり、アフガニスタンも含めてだが、出てきた勢力(タリバン等)を叩けば平和が来るわけではない。少数民族・宗派に分かれて内戦を繰り返すだけだ。力の支配が最も効率的な平和の作り方である。今はビンのふた的に米軍が駐留しているが、現状維持が精一杯。上記の攻撃に直接反撃などしていたら、事態がエスカレートして増派しなくてはいけなくなる。今回のシリア空爆というのは、直接反撃ではないけれど「攻撃されたら黙っていないよ」と内外に伝えた、バイデン政権のメッセージだったと思う。

 

 トランプ政権ではあまりなかった「大統領命令による攻撃」が就任100日早々出たという事は、将来を暗示しているかもしれません。古来好戦的と思われがちな共和党政権ではなく、民主党政権の時に米国は戦争に突入(南北戦争・太平洋戦争・ベトナム戦争)します。バイデン政権で米中戦争・・・なんてことにならなければいいのですが。