Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

軍事行動の8割はサイバー空間で

 EUは昨年、サイバー攻撃に関与した個人に制裁を加えることのできるスキームを準備した。ただそれには加盟国27ヵ国の同意が必要で、もともと犯行の証明が難しいこともあって「空文」かなと僕は思っていた。しかし、今回は初めてその制裁が加えられる可能性が出てきたとの報道があった。

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/eu-223.php

 

 メルケル首相と連邦議会が狙われたとされるサイバー攻撃が、ロシア軍によって行われた(多分行われ続けている)というのが、その告発内容。容疑者は、2016年に米国の大統領選挙で民主党に対してサイバー攻撃を仕掛けたとFBIが指名手配している人物らしい。

 

 大統領選挙のような目立つイベントだけではなく、定常的に政権中枢を狙う攻撃をロシアが繰り返していて、メルケル首相自身「正直苦痛だ」と述べている。ドイツは「COVID-19」への対処でも優等生だし、今回は消費税率を半年間下げるという景気刺激策もとっている。財政黒字だから税率を下げる余裕があるというのは、日本の現状から見てうらやましい限りだ。一方のロシアは、原油安で経済が痛み感染拡大を懸念しながらも経済活動再開に踏み切るなど苦しい状況。

 

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 そんな中でも、他国へのサイバー攻撃は怠らないというのがロシアらしい。核兵器や通常戦力ではNATOとロシア軍の戦力は互角、もしくはロシア軍優位だという。もちろん実際に戦火を交えたことはないので、推測に過ぎないが・・・。リアル空間に加えてサイバー空間でも、ロシア軍は戦力の優位性を誇っているということらしい。一方米国内政にしか興味のないトランプ政権は、ドイツ駐留米軍の削減を発表。1万人規模の削減との報道である。

 

 以前日本の軍事専門家とパネルディスカッションをさせてもらった時、彼は「今や軍事行動の8割はサイバー空間で行われている」と言っていた。ならば駐留米軍の削減も無茶な話ではあるまい。しかしそれではサイバー空間での戦力比率は、どうなっているのだろうか?ここまで考えて、わが国はどうなのだろうと迷ってしまった。

 

 リアル空間での行動に憲法上の制約のある「日本軍」も、サイバー空間での攻撃力は磨けるのではないかと思う。攻撃力あっての防御力、これはどちらの空間でも通用する法則と思うのですが。