Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラ保守と新技術の相性(後編)

 これに加えて、現場の人達からは「ハイテク・ローテクのバランスを考えながら少しづつ進めたい」との意見が多かった。僕らの言うDXは、根本から考え直す戦略的な構造改革が多いが、インフラ保守のような既存の現場ではそれは危険だとのこと。しかし技術ベンダー側は一足飛びの提案ばかりするので、ミスマッチが生じるとの指摘があった。
 
 成功事例の自治体の担当者は積極的な人が多く、自分の役に立ちそうな技術があれば電話して深く知ろうとする。それでも技術に関する情報は偏在しているというので、国などではいくつかのニーズ・シーズをマッチングするサイトを運営している。
 
国交省が運営するシーズ技術サイト「NETIS」
国交省のニーズ掲載・シーズ公募サイト「革新的河川技術プロジェクト」
中小企業基盤整備機構のニーズ掲載・シーズ公募サイト「J-GOODTECH」
・民間企業によるニーズ・シーズ双方向公募型「ツクリンク」
・民間企業によるニーズ掲載・コーディネータ主導型「自治体CONNECT」
 

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 なるほど、これを使えば自治体側が技術を探すことも、技術ベンダー側がニーズのある自治体をさがすこともできるわけだ。しかしこのような努力にもかかわらず、関係者の思惑ほど事態は進んでいないという。自治体担当部署に技術の説明をするだけではなく、技術者側に現場のノウハウを勉強してもらう必要がありそうだ。そうでなければ、前編で述べたように「使えないままの技術」で終わってしまうから。
 
 そしてもうひとつは予算制度の問題。新技術導入はリスキーなので、現場がそれを望んでも自治体の財政当局(企業で言えば財務本部長)がクビを縦に振らないという。一般的に国の財政支援は補助率が50%だが、自治体担当者からは補助率50%では市の財政当局の了解が得られないので、もっと上げて欲しい(理想は100%)との声があった。事例の中でも、ある自治体では補助率100%だったので、すぐに実行できたと言っている。
 
 既存の現場を抱えていて一足飛びの改革は難しいのがこの分野だということは、議論を聞いていて痛感しました。それを改革していくのもまた技術、技術側には現場を理解する努力を望みたいですね。昔のTVドラマのセリフ「事件は現場で起きている」と、刑事の鉄則「現場百編」ですよね。