Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

戦車は陸戦の王・・・じゃなくなるかも

 第一次世界大戦に登場した兵器の代表格「戦車」、前線への輸送時にカバーをかけて姿を見られないようにし、「水などを入れるタンクだ」と言ったというのがその名前のルーツである。特に第二次世界大戦の前あたりから、陸戦に革命をもたらした。優れた軍人はそれらの事例(ノモンハン事変・スペイン内戦等)から、次世代の戦術を編み出した。

 

 21世紀が近づいても、陸戦の王としての戦車の地位は揺るがず、各国は次世代戦車の開発を続けた。より強いエンジンを積み、装甲を厚くし、砲撃力を高めた。イラク戦争ではソ連製のT-72なども、米軍の新鋭戦車M-1エイブラムズには全く敵わなかった。ただその重戦車化志向も、このところ曲がり角に来ているとの記事があった。

 

来るか「軽戦車の時代」 戦車はどこでも走れるけれど どこでも走れるわけではない! | 乗りものニュース- (3) (trafficnews.jp)

 

 重戦車は重くて輸送が難しく、燃費が悪くて移動させるだけでも大変だ。だから一時期空挺戦車「シェリダン」のように、軽装甲で滑空砲からミサイルを撃つものも試された。しかし活躍したという話は聞かない。そんな軽戦車指向が最近各国で高まっているというのが上記の記事、中国の15式軽戦車は日本の16式MCVが紹介されている。

 

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ナチスドイツの装甲車 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 MCVは装輪式装甲車で、ナチスドイツが開発・配備していたPSWシリーズに似ている。10式戦車よりずっと軽く、普通の橋なら渡れるし輸送機や舟艇にも搭載できる。重戦車と撃ち合うことは出来ないが、それは地上攻撃機やドローンのような上面装甲を狙える兵器に任すことも出来る。

 

 そもそも戦車の役割で敵戦車の撃破というのは、後で付いてきたもの。当初は塹壕を突破したり敵のトーチカ、特に機関銃座を潰すのが期待された役割だった。今は歩兵が生身で歩くことは減っているが、それでも戦車に期待するのは歩兵の保護だ。最終的に敵陣を占領できるのは歩兵だけなのだから。

 

 加えて技術革新は戦車そのものも無人化したり、アンドロイド型の兵器を産み出すかもしれません。社会がネットワーク化し組織が自律分散運用される時代です。戦場も少数の王が君臨する形から、多数のネットワークセルが蠢き回るようになるのではないでしょうか。