オリ/パラ組織委員会の森会長の失言(・・・というより信念)から、国内外で大騒ぎが起きている。もともとダイバーシティなどという言葉のなかった時代の人なので無理もないのだが、そんな人がまだ表舞台に立っていることが多くの人の怒りと、日本社会への不信となっているのだろう。経団連会長が「日本にはまだそういうものが残っている」とツイートしたところ、蓮舫議員に噛みつかれるなど影響は広がっている。
僕の方はある会合で、バブル崩壊後就職活動をした女性の話を聞く機会があった。彼女は中央大学の法学研究科博士課程前期(要するに修士課程)を修了し、進路に迷ったという。後期課程まで進んで大学に残るか、就職するか。就職したかったのだが「文系・女子・院卒は採用していません」という会社ばかりで、結局人物しか見ない外資系コンサル会社に就職したとのこと。
彼女の頃からさらに15年ほど前が、僕の就職時期。その頃の女子学生のことを思い出した。工学部なので、同級生には女性はほとんどいない。大学院になれば、研究室には女子学生はゼロ。ただサークル(写真部)で付き合いのあった女子大学に、1歳下の大学院生はいた。確か国文学研究科だった。
名古屋では有名な女子大学で、仮に「金鯱学園」としておくが、幼稚園から大学院まである垂直統合型の学校法人だ。良家の娘さんしか入れない学校だが「良家」にもランクがあり、どのコースを選ぶかとの相関がある。
・幼稚園から 中心部に住む本当の富裕層の娘さん、通称「純金」
・高校から 地方在住かセカンドクラスの富裕層、通称「18金」
・短大だけ サードクラスかやや学力不足、通称「金メッキ」
大学院生だった彼女は、大学教授の娘で大学からこの女子大に入った。6年もいるのだから「メッキ」ではない、ちょっと特殊な経歴。彼女の同級生たちが4年生になった時に話を聞くと、「純金」クラスは見合いも済み、2年限定で一流企業に就職内定しているという。2年だけ「職場の花」で、寿退職まで内定しているわけだ。そういう同級生の中で彼女は進学を決めたが、修了時にまた悩むことになる。やはり「文系・女子・院卒」を採用する企業がないのだ。
結局サークルで付き合った僕の友人と結婚するのですが、「女子には短大が適当、すぐにお嫁に行けるから」という時代では、特異点でしたね。40余年前の話ですが、やっぱり社会のどこかに残っていますよね。