Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

アンティシペーションできたかも?

 ミャンマー国軍のクーデターは、着々と地歩を固めている。内閣を完全に掌握した後、警察や選挙管理委員会のTOPも入れ替えた。おそらく昨年与党が圧勝した選挙は、やり直しになるだろう。これに対し各国はクーデターを非難しているが、中国だけはこれを「内閣大改造」と評して軍事政変ではないとの立場だ。

 

 あと知恵だが、クーデター前に軍幹部が中国のしかるべきところと頻繁に通信していたことが分かったらしい。通信内容までは分からなくても、その頻度を知るだけで何か(例えばクーデター)の予兆と捉えることができたかもしれない。これをアンティシペーション(予期)という。

 

 古くは真珠湾攻撃の前、米国政府は日本政府と在米大使館の通信が急増していることに注目していた。「ハル・ノート」で追い詰めた日本がついに暴発し、米国は第二次世界大戦に大手を振って参戦できると喜んだようだ。緒戦の被害は想定以上だったけれども・・・。

 

 先日国際政治の専門家に教えてもらったところによると、9・11事件の直前にも同様なことが起きている。モハメド・アタはじめ、首謀者たちの間での通信量が増えたのだ。後にその情報が公開されていることから、当局は彼らに目を付けていたのかもしれない。通信内容は隠語だったし、アラビア語だったので内容は掴めなかったが、通信量だけでも予兆にはつなげられたかもしれないと専門家に聞いた。

 

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 9・11後に製作・放映され始めたTVドラマ「NCIS」では、関係者の通信を調べて捜査の突破口を開く話がよく出てくる。イラク派遣兵がメリーランドに戻ってきて殺害された事件では、被害者が駐屯地から米国のどこに電話していたか、帰国してから電話した先はどこかなどを調べ、容疑者割り出しにつなげていく。

 

 米国政府は認めないだろうが、今でも衛星通信、地上の電波、インターネット上の通信などを傍受しているはずだ。これらも内容までに踏み込まなくても、メタデータとして「どことどこがどのくらい」通信しているかの変化を見ていれば、何かが分かる。中国とミャンマー国軍の通信急増となれば、何かが起こる・・・公算が高いのは昨年の総選挙で大勝した与党の政権をひっくり返す行為、つまりクーデターだと当局は考えたかもしれない。

 

 僕の疑問は「当局」がそれをミャンマーに伝えたのか、伝えなかったか?伝えなかったとしたらそれはなぜか?以後の何を見すえていたか?・・・なのですが。