Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

習大人のデータ政策

 世界で一つのインターネット、サイバー空間に国境なしというのが本来の姿だが、実際にそうなっていないことは何度もご紹介した。サウジアラビアなどは一切のデータ持ち出しを許していないが、まだこの国などは国際的なデータ活動の大きな障害ではない。何より問題なのは14億人の国、中国。以前から「Great Fire Wall」と称して、インターネットに壁を立てていた。現在その状況がどうなっているのか、中国の専門家と意見交換する機会があって教えてもらった。

 

 彼によると、2017年がひとつの節目だったという。それは以下の2つの法律が施行され、データのガバナンスに根拠(法)ができたから。

 

◆国家情報法

 中国政府によるガバメントアクセスに関して広範な権限を、刑事罰とともに規定している。具体的には、

 「国家情報活動は、総合的国家安全観を堅持し、国の重大な政策決定のために参考となる情報を提供し、国の安全に危害を及ぼすリスクを警戒及び除去するために情報面での支援を提供し、国の政権、主権、統一と領土保全社会福祉、経済社会の持続可能な発展及び国のその他の重大利益を守るものとする」

 となっていて、主権や領土と並んで「経済社会発展やその他」まで対象となっているので、習大人は事実上全ての情報を「関係機関・組織・個人」に提出させることができ、それに反すると「警告及び15日以内の拘留」に処することができるわけだ。

 

    f:id:nicky-akira:20210128211840j:plain

 

◆サイバーセキュリティ法

 中国政府による重要インフラの保護に関する規定や、重要データの国内保存義務化と持ち出し制限を規定している。データに対しては、

 「産業データの越境移転においても、国外への提供が業務上必要であっても、本人(機関)の同意がない、政治・経済・科学技術・国防上リスクがある、その他政府が認めるときには移転が不可能。また、個人データ・重要データは、国内保存が義務付けられている」

 であり、重要とは何かと言うと、

 「重要データとは、27分野+その他重要と認められる分野を指す。重要情報インフラとは、政府機関・エネルギー・財政・輸送・水利管理・保険治療・教育・社会保障環境保護・公益事業・電気通信ネットワーク・ラジオ・テレビ・インターネット・国防科学技術・大規模機器・化学薬品・食品及び製薬産業・科学研究・報道機関」

 だからほぼ全部だ。いや、習大人はなかなか徹底していますね。どうしましょうか?