Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ロシア対中国、その一面

 米国にバイデン政権が誕生して、かなりのスピードで「改革」を実施している。ロシアとの間でかつて、オバマ・メドヴェージェフ時代に締結した戦略兵器削減条約(START)の期限が迫っていたのを、延長することで合意したとの報道があった。

 

「中国の核」棚上げの新START延長 協議停滞なら脅威は増大 - 産経ニュース (sankei.com)

 

 この内容は戦略核兵器に限定したものではあるが、人類の生存のためには非常に重要なものだ。先月発効が始まった「核兵器禁止条約」はその実効性に疑問があり、この2大核大国が本気で戦争を始めれば「Mutual Assured Destruction(MAD):相互確証破壊」という事態を招き、人類滅亡も想定されるからだ。

 

 僕がまだ高校生だったころ、映画「博士の異常な愛情」や小説「渚にて」でそれが何を意味するのか知った。最近では、南ア・ドイツ枢軸が英米連合と全面戦争に入り、核兵器が飛び交う世界を描いたジョー・バフの小説で、認識を改めた。

 

戦術核魚雷の応酬 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

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 閑話休題、STARTの5年継続は歓迎すべきことだが、改めてロシアは今でも大国だと思った。韓国程度のGDPしかなく、原油安で経済は低迷、人口も中国の1/6程度だ。僕らはよく「中国・ロシアの(サイバー攻撃等での)脅威」というが、この両国は決して一枚岩ではない。もし両国の間に紛争が起きたらどうなるのか?

 

 ここで戦略核兵器の量が重要になってくる。STARTでロシアの戦略核は1,550発、中国は200+α発で、大きな差がある。軍事専門家によると、米国は対中国の核戦略として「2対1」態勢で闘うという。つまり1発の戦略核に、2発の戦略核をぶつけて潰すということ。なぜ2発かと言うと、1発では不測の事態があり得るので念のためもう1発ぶつければ、ほぼ確実に無力化できるという。

 

 これはロシア対中国でも、同じことだ。現時点ではいかに習大人が人民解放軍を鼓舞し、軍事的手段も辞さないと強面をしても、米国・ロシアとは戦端が開けないように思う。中国は2020年代には米ロに近い核戦力を持ちMADの仲間入りをしたいと聞くが、それならあと10年鄧小平の教えに従って「大人しく爪を研ぐ」べきではなかったか?

 

 中国の脅威というのも、どうも国内向けの統治手段のように感じる理由はここにもあるのです。