「COVID-19」騒ぎで「テレワーク7割」の要請が、政府から業界団体に降ってきている。それに向けて努力している、あるいは言われなくても従業員の命と健康を守るためにやっている企業を、僕は多く見てきた。ただそういう企業は決して多数派ではなく、昨日も取引のあるある金融機関の人と話をしていたら、
「いや、電車混んでますし。僕も今日も明日も出勤です」
という。ある記事は、日本はテレワークに向かない国と決めつけ、その理由として、
・小規模事業者で働く人の賃金がさらに低くなる。
・出勤削減目標のために、派遣やバイトが犠牲になる。
・テレワークうつなど、メンタルヘルス問題が急増する。
を挙げている。理由についての説明を読んでいくにつけ、どうしても「メンバーシップ型雇用」の発想から抜け出せないのだなと思った。経団連ではテレワークはもちろんだが、春季労使交渉の企業向け指針の中に「ジョブ型雇用の積極的推進」を入れている。仕事の中でジョブディスクリプションやKPI、それに伴う処遇を明示して労使が契約するという形態ならば、労働者は成果を出すことに注力すればいい。
ところが本件を記事にした日経ですら「安易な導入は禁物だ」と警戒したコメントを添えている。
日本的雇用崩すジョブ型 経団連が導入促す: 日本経済新聞 (nikkei.com)
記事が言う「日本的雇用」というのはやはりメンバーシップ型、出社して仲間と一緒にいることがKPIとされるもののことだろう。それでは、企業も個人も厳しい国際環境で勝ち残れないと僕は思う。グローバリゼーションは一時期衰えても、再び拡大する。経団連の想いはそこにあるはずだ。
ただ僕がメディアに望みたいのは、大企業経営者がグローバリゼーションの対応だけのために「ジョブ型雇用」を唱えているのではないのを理解して欲しいこと。以前僕自身が、ある大企業で当時できるかもしれない「ジョブ型雇用制度」導入の提案をしたことを紹介している。
僕の「ジョブ型雇用論」(5/終) - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
この目的は、企業戦力の向上、個人の研鑽などあるのだが、真の狙いは「人事を個人に取り戻すこと」だった。メンバーシップ型では、従業員は、
・あの事業所に行け
・この仕事をしろ
・上司には逆らうな
と強要される。これは不条理だと僕は思っていました。この点も、メディアは議論して欲しいものですね。