Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

データ戦略TFの活動(2)

 データの社会的な活用にあたっては、「なんだか気持ち悪い」とか「俺のデータを勝手に使うな」という市民の意識を変えてもらわないといけない。一部のIT企業がデータ独占で儲けているというケースに限らず、道路やその他公共インフラの整備、よりきめ細かな地方公共交通の改革などが目的でも、上記のような意見は少なくない。そこでTFが打ち出したデータ活用の原則がこの5点。

 

・自分で決められる、勝手に使われない

・つながる

・いつでもどこでもすぐ使える

・安心して使える

・みんなで創る

 

 社会的容認を得ながら活用の範囲を広げようとした、工夫が見られる。一方で提供されたデータが信頼(トラスト)に足るものである必要があって、3つのトラストに関わる枠組みを用意するという。

 

・提供が本人の意思によるものであることの証明

・提供者(個人・組織・機器)が信頼に足りるものであることの証明

・データ自体のある時点での存在と、改ざんされていないことの証明

 

 これらの「証明」をひとつひとつやってくことは大変な手間、だから証明のあり方やその確認方法、もちろん流通経路の設定や保守なども含めて定めることが必要だし、それを誰でも使えるようにすることがもっと必要。一言で言えば「プラットフォーム」の整備である。

 

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 取組としてはまず行政が中心となるので、TFに参加している関係省庁が中心になってプラットフォーム構築に向けた官民での議論をすすめ、デジタル庁発足までに課題整理をしておくという。議論にはTF内の内閣府・官房・総務省経産省文科省に加え、スマートシティを持つ国交省、農政を担当する農水省や今回「COVID-19」騒ぎでデータ共有の必要性を十分知った厚労省も入ってもらうことを期待する。

 

 ただ官民共にだが、すでに持っているデータは他部門との共有を考えてデータベース設計されたものは少ない。「データ共有・流通は重要だ。しかしフォーマットなどをウチに合わせてくれるのだろうね」という主張は、僕自身は30年以上前から耳にしている。このあたりを捌くためには、企業内では経営者の強い意志しかない。国全体となると、誰が「強い意志」をもって実行できるかが課題だ。

 

 現実的な解としては、まず経済・社会的に効果の大きそうな分野から進め、データ共有・活用の良さを多くの市民が理解してもらうことから始めるべきだろう。

 

<続く>