Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

データ戦略TFの活動(1)

 全世界的に「DATA Driven Economy」の時代になったことは、再三ご紹介している。一部のIT企業がデータを囲い込んで不当な利益を得ているという非難もあるが、まだ彼らも手を出せていないデータは社会に一杯ある。どこかに眠るデータを発掘して、新しいビジネスモデルを考え実践していくことこそが、昨今流行のDX(Digital Transformation)を実行するポイントだ。

 

 社会全体としてどう上手くデータを使えるかは、間違いなく国力にも影響する。そこで日本政府は「データ戦略タスクフォース(TF)」という組織を内閣府・官房の中に作った。財務官僚OBの人が書いた本に「政府の審議会は有識者等を抱き込むためのもの、やるべきことは官僚が決め、それを追認させるのが目的」という指摘があった。

 

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 そういう審議会もあるだろうけれど、エンジニアリングなど理系の審議会では「官僚の意思」だけで物事は決められない。特にデジタルの分野は技術発展が著しく早く、社会への影響も大きい。そこでこのTFは内閣総理大臣補佐官が主査を務めるものの、経済団体の政策部長や企業経営者など産業界から5人、大学の有識者が6人加わっている。そこに内閣府・官房の各部署、個人情報保護委員会総務省経産省文科省のしかるべきポストの人が加わる。

 

 会合は10月に始まり、年末には「第一次とりまとめ」が発表された。スピードは確かに速いが、内容はまだ大方針を示したくらいだ。今回この会合の事務方を務める内閣官房の人から、活動内容を聞く機会があった。まずこのTFの活動理念だが、データ戦略のアーキテクチャを定めることという。「現実空間とサイバー空間が高度に融合したシステム(Digital Twin)により、新たな価値を創出する人間中心の社会」というのがビジョン。

 

 リアル空間とサイバー空間は表裏一体、それを表わした言葉が「Digital Twin」で個人も家やオフィスも、町全体すらリアル空間・サイバー空間双方に存在するということ。サイバー空間での僕は、アバターのような形で存在することになる。加えて「人間中心の社会」とあるのが、重要な理念。サイバー空間を一部の人達が独占して、市民を搾取するようなことはしないということだ。

 

<続く>