Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

社会インフラとしての英断・・・

 トランプ先生のアカウントを、FacebookTwitterが永久追放にした。自ら「このようなSNSなかりせば、大統領にはなれなかった」というトランプ先生、代替えの運営会社を探しているようだが、そう簡単には見つけられないだろう。それだけではなく、トランプ流の共和党の中でも過激な人たちが集う新興SNS「Parler」も、今回閉鎖に追い込まれた。閉鎖の理由は、同社にクラウド環境を提供していたAmazonクラウド事業部門(AWS)が、サービス提供を止めたから。

 

IT大手「トランプ流」決別 Amazon、新興SNS接続停止: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 「他者への暴力を助長・扇動する投稿を削除できない顧客にサービスは提供できない」というのがその理由。同時にGoogleAppleもParlerを自社のアプリ配信サービスから削除している。同社は代替えのサービスを探しているようだが、そう簡単に見つかるとは思えない。

 

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 このところ風当たりの強い「巨大IT企業」だが、期せずして堂々たる社会インフラになっていることを見せつける結果にもなった。事実上「トランプ党」と化していた共和党過激派の基幹部分が、あっという間に消えてしまったのだから。Twitterのようにアプリを提供している事業者だけでなく、そこに環境を提供している事業者も意志をもって何かを封殺できるのだ。

 

 FacebookのサッカーバーグCEOは、かねて「真実の裁定者にはならない」として投稿内容に干渉することを避けてきた。これは、多くのSNS事業関係者のコンセンサスだったと思う。インターネットはみんなの物、誰でも自由に使うことが出来る物である。サイバー空間での法体系がリアル空間よりずっと緩いことに加え、自由の国米国の思想がこれを是としてきた。

 

 今回の各社、特にインフラ提供者としてのAWSの行動は、英断だったと僕は思う。ただその行為そのものは十分に検証されるべきだし、今後同じような事態が持ち上がった時、社会インフラとなった巨大ITはどういう基準で判断し、行動すべきかの議論は必要だ。

 

 インターネット業界は、巨大ITの寡占・独占だという人が多い。しかし実際は何かが止まっても、直ぐに代替えが出てくる柔軟性の高い構造なのだ。今回はその代替えもすぐ出てこないケースだが、それは誰の意思で決まるのだろうか?日本だと「雰囲気」かもしれませんがね。