Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

漂流する民主主義(前編)

 さしものトランプ先生の抵抗も各地の訴訟が続けられなくなり、ジョージア州での票の数え直しも(3億円かけたのに)結果は変わらずバイデン候補の勝利となった。「選挙を盗んだ」と熱狂的な支持者が騒いだところで、尋常な手段ではホワイトハウスに居座るのは難しくなった。追い詰められたトランプ先生が、尋常でない手段に訴えないことを祈っている。

 

 今回米国政界に詳しい人に、今回の選挙の裏側を聞く機会があった。何をするか分からない困った大統領だったのに、選挙の結果が動かしようもなくなるまで共和党の重鎮らそれなりの知識人がトランプ批判を控えていたのには訳がある。それは共和党全体がどんどん劣勢に追い込まれていて、トランプ候補以外で勝てる可能性がなかったからだという。

 

 僕らは共和党=保守派、民主党=革新派くらいの分解能しかないが、共和党の屋台骨はWASP(White, Anglo-Saxons, Protestant)である。ところがその人種が相対的に減ってきていて、かつてWASPが人口の半分まで減ると騒いでいたのだが、今やカトリックユダヤ人まで入れて白人がようやく半数の国に、米国はなってしまっている。有権者層が変わることで、米国の民主主義が漂流し始めた印象がある。

 

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 かつてマイノリティだった人たちがメジャーになってきていて、WASPの王国を壊した。その象徴が「オバマの8年間だった」とその人は言う。全米50州を赤と青に塗り分けた地図、選挙開票中によく見たものだがそのベースとなった地図があって、共和党の地盤・民主党の地盤・激戦州に色分けられている。激戦州など色を変えることも出来てその結果どちらの候補が何人の選挙人を得るかのシミュレーションができるものだ。

 

 ノースカロライナジョージア、フロリダなどをとっても共和党に勝ち目がないのがそのシミュレーションでわかった。では2016年、トランプ先生はなぜ勝てたか?ラストベルトと呼ばれる五大湖周辺の州は民主党支持が多いのだが、そこをひっくり返したからだという。

 

 その理由は「低投票率」にあったらしい。ヒラリー候補については民主党支持者の中でも反発する人たちもいて、選挙人登録に行かなかった。どうせだめだと諦める人たちの中で、威勢よく「Great Again!」と叫んだ変な親父に賭けてみようという人が投票にいったということだろう。

 

<続く>