Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

平井大臣朝食セミナー(後編)

 満を持して登壇した平井大臣は、(閣議までの)残り時間を気にしながらも主張したいことを並べ立てた。特に「デジタル庁」に関しては、

 

・スピード×スピード×スピードの感覚でやる。企業なら起業から1年で上場くらい。

・庁そのものが新しい時代のシンボル。霞ヶ関の新しい文化、働き方などの先鞭をつけるが、大事なのは透明性。

・新政権のデジタル化は一丁目一番地、骨太方針には105回「デジタル」が出てくる。

・アナログ時代からデジタル時代へ、根本的にやり方を変える。

・とはいえ誰もやったことのない挑戦、まずやってみてまずければ変える。アジャイルガバメントと言ってもいい。

・とにかく国民しか見ない。Government as a Serviceの意識を徹底。

 

 と言い、スケジュールとしては、年内にデジタル庁の骨格を決める。関係する法案を10本ほど来年早々の通常国会に提案する。デジタル庁の発足は来秋になるだろうとのこと。庁の要員は霞ヶ関からだけでは集まらない、すでにこれはと思う人には声を掛けつつある。民間企業は、こころよく彼/彼女らを貸して欲しいと民間に依頼した。霞ヶ関抵抗勢力封じのため、河野大臣と連携を密にし、2人の前に担当大臣(総務・経産・農水・厚労・国交・金融等)を呼んで3人だけで話し合う。政治家だけの決定だという。

 

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 実際にこの話を進めていくのは(政治家が本気になっても)大変難しい。日本最大の集団「行政」をDXするというのは、民間企業のそれとはレベルが違う。僕自身は、そこそこの大きさの企業でも各部署の「現場の抵抗」が強くて、DXが頓挫したケースをたくさん知っている。ただ大臣の思うところ(理念)とある程度の具体策は伝わった。

 

 問題は閣議で大臣が退出した後を任された宏池会の岸田会長、大臣でもないし党三役でもないから仕方ないのだが、具体的な話を聞けない20分間になった。平井大臣の話の間には熱心にメモをとっていた人たちも手を止め、後方座席では居眠りをする聴衆もおおかったと後で聞いた。中国の国家資本主義、米国のGAFA等の一人占め資本主義とは違う「日本型の資本主義」を追求しようという主張にはうなずける部分もあるのだが、具体性は全く感じられなかった。

 

 まあ500人も集まったこと自体が多分異例、時の人になった平井先生には活躍をお祈りしますよ。もちろんできることは、協力させていただきます。