Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

西太平洋、波高し

 米国では大統領選挙が大詰め、劣勢と言われるトランプ先生だがなりふり構わぬ暴れようで、何としてでも再選をとあがいている。過激な支持者たちに投票所を監視しろと言ったり、武装集団に「下がって(戦いに)備えよ」と命じたりしている。仮に投票結果で負けたとしても、負けを認めずホワイトハウスにしがみつくと思われる。負けを認めたら旧悪で訴追され、恩赦か逮捕か亡命かと書き立てる記者もいる。

 

 一方の中国、5年に一度の長期計画を議論する「5中全会」が始まった。経済成長計画が論点のはずだが、最大の争点は人事。習大人が2035年までの「終身主席」の座を固める会になるとの観測がある。そんな両国の事情もあるのかもしれないが、この2週間ばかり西太平洋地域で緊張が高まっている。

 

 米国は、台湾へ空対地ミサイル「SLAM-ER」など18憶ドル分の武器を輸出すると発表した。これはすでに台湾空軍が導入しているF16に搭載して、中国本土の拠点へピンポイントの攻撃ができるもの。加えて対艦ミサイル「ハープーン」を24憶ドル分も追加輸出。さらに西太平洋での中国漁船の違法操業を取り締まるため、沿岸警備隊の艦船をサモアに派遣するとの報道もあった。

 

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 これに対して習大人は海兵隊基地を訪れて「戦いに備えよ」とゲキを飛ばした。朝鮮戦争参戦70周年の式典では「米軍の不敗神話を中国共産党が破った」と歴史を引用して対米戦辞さずとの姿勢も見せた。そして争点の台湾だが、米国などが台湾に肩入れするのは、「祖国を分裂させようとする企みなので、粉砕する」主旨の演説も行っている。そして台湾海峡に配備されたのが、極超音速ミサイル「東風ー17」。

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/17-23_1.php

 

 わずか160kmほどしかない台湾海峡だが、このミサイルの射程は2,500kmはある。これはグアムにこそ届かないが、フィリピンや日本の大部分を狙うことのできるミサイルである。この記事にあるように、目標は台湾ではあるまい。グアム等からやってくる空母艦隊かもしれないし、極東最大の軍事基地嘉手納というものありうる。

 

 核兵器禁止の国際条約が発効するまでに本格的な核戦争が起きてしまうかもしれない皮肉に、国際社会と極東諸国は直面しているのかもしれません。